のほほんさん

レッド・グラビティののほほんさんのレビュー・感想・評価

レッド・グラビティ(2020年製作の映画)
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フランス製SF作品。
冒頭でいきなり地球の危機的状況と、1人の男に地球の命運が託されたことが告げられる。
乱暴と感じる間もなく細かい説明と他の介在を端折られるのだから頼もしい(笑)


地球に迫る赤い月は周りに強力な磁場を持ち、接近を許さない。託された男は、唯一事前のテストでその磁場を突破したそうだ(どうやってテストしたんだろ?)。
男はその月のパワーを新世代エネルギーに利用した男(ジャン・レノ!そして近づけないのにどうやって利用したんだろ?)の息子で、彼が打ち上げ直前に失踪したことから代わりに兄が月へ向かい、そして案の定失敗する。


荒廃した世界なのだが近未来なので、どこか退化したような兵隊の装備と近未来な小物の両方が楽しめる。
小型追跡マシーンは空を飛ぶタイプと丸まって走行した後にクモみたくなるタイプがいる。


失敗後の兄貴が、よくわからないけど相手の心を読み取り操る能力を駆使しながら主人公を追跡してくる。
爬虫類の様な目をした兄貴は不気味で良いが、なんでわざわざ途中の人たちを殺すのだろうか。


転じて主人公の方は未来を予知する力を持っていて、赤い月が実はこれまで地球に進化を与えてきたことや、今回も害を与えるまのではないことを予知していた。だから、彼はその能力をジャン・レノから抑制させられてきた。
彼は予知で見た森を探し、偶然出会った少女と共に逃避行を続ける。


空飛ぶクルマのでの空中チェイスとかアクションシーンもあるにはあるが、その辺やSFそのものは割と味付けにすぎない感じ。むしろ、特殊な能力を持ったばかりか月パワーを利用する最先端の父を持ち、一方で母を失った悲しみも抱える兄弟の葛藤を詩的な映像美で描くことに重きを置かれていると感じた。


本当は地球規模なのにえらく内省的な展開。
SFは別に大規模にする必要はなくて、むしろ範囲をミニマムにすることの面白さもある。そうした面白さも感じる作品だった。