教授

猿の惑星:創世記(ジェネシス)の教授のレビュー・感想・評価

-
ある意味でネタバレ上等の映画というか。
あまりにも有名なSF映画の前日談なので、オチがバレバレの状態で物語が始まる。
しかし、そのことが最大限に、効果的に機能している。

人類にとって、その悲劇的な終末へのカウントダウンとして、まさにシーザーの誕生から、全ての物悲しさがつきまとってくる。

とにかく物凄いスピードとテンポと、巧みな省略編集と高揚感のあるカメラワーク。
作劇も、覚醒していく猿たちと比べ、静かに黄昏を迎えていく人類との構図の比較が非常に上手い。

父親のアルツハイマーによる死への抵抗と、人類の最後の悪あがきが、フラクタル的に重なり、小さな個人の願いとしての物語が、無常にも世界全体の滅びに向かっている構図が素晴らしい。

一方で、表情だけで常に「何か」を感じている。あるいは見つめているそのシーザーの実在感。
常に仕草だけで多くのものを語ってくれる。
映画としてもヒューマンドラマ。差別の問題にも踏み込んだテーマ性。脱獄もの。そこから激しいアクション映画に昇華されていく。
「猿の惑星」という概念からしっかり読み込んでつくられた傑作。
教授

教授