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私の名はパウリ・マレーのkissenger800のレビュー・感想・評価

私の名はパウリ・マレー(2021年製作の映画)
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メリル・ストリープが落ち目のミュージカル女優を演じた『ザ・プロム』(2020)で、大作に挑むも大失敗に終わる。って本編前エピソードが設定されていたのはご記憶ですか。
その劇中劇がエレノア・ルーズベルトってUS史上最も高名な大統領夫人を描いたもので・ってことになっていて、流れの必然とはいえ勢いにまかせ「いまどきエレノアなんて誰も興味ないし」みたいな台詞があったんですよ。
そういう、知識欲をないがしろにする俺カッケエみたいな幼稚な空気を醸し出されると、ただでさえ物語背景を伝える習慣が薄くなっているのに。って渋い顔になったことを思い出したのは本作主人公たるパウリ・マレーの重みを知るにはエレノアだったりRBGだったりを知っていなければ「へー」とも思えない、ってドキュメンタリーだったから。

私だって前提知識ほぼゼロでしたけど、90分見たらまあまあエラそうな顔ができそうなぐらい、パウリ・マレーという人物について余すところなく伝えていたので、filmarksにサムネイルも付けてもらえないままだけど(って書いて約1年後ようやく付いた)アマゾンスタジオの存在意義をホメるときの例として名前を挙げていい作品だと思いました。
ただまあものすごく地味。

……肝心の内容に触れないままレビュー終わった感を出してしまいましたが、ひとつだけキーワードを採るなら評伝を書いたジャーナリストだったかが言っていたin-betweennessかな。
〇〇と××の間にあること、ぐらいの意味で、たとえばLGBTQ+でもあったパウリ・マレーというひとのアイデンティティはジェンダーでいうと男と女のinbetweenに在ったわけですが、俯瞰して問題の本質を見出してしまう習慣、もしかするとそういう場所に永らく居たからかも。みたいな話が出ていて、興味深く聞いていました。
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