ろく

グレタ ひとりぼっちの挑戦のろくのレビュー・感想・評価

3.6
<今>彼女を非難することはできる。

見ていて思ったのは足尾銅山で直訴した田中正造だ。

田中はかなりエキセントリックな人間だ。そもそも天皇に直訴するのだって当時の感覚ではやりすぎ以外の何物でもないし、評伝を読めば読むほど「空気が読めない」人だということがわかる。

でも彼が「訴えた」ことは間違っていたのか。それは歴史が証明している。彼の訴えは「間違いでない」。あのままやっていれば鉱毒によりもっとひどい状況に足尾は陥っただろう。ただその「間違いでない」は100年ほどたった今だからわかること。

翻ってグレタの訴えは。地球温暖化は確実に起きている。そしてそれを認めているのに(確かに)大きな対策は何もうたれてない。わざわざ飛行機でなく船でアメリカに行くグレタを僕らは笑えるだろうか。何も対策を講じていない僕らが。

今年の夏だっていままで以上に暑いじゃないか。それでも専門家やインフルエンサーはこう言う。それは地球温暖化と関係ないから!でもね、そうは言っても東京は過去一番の暑さだよ。そしてみんなクーラーつけて結果ますます外は暑くなってしまった。もうそろそろ真剣に考えたほうがいいんじゃない。そんな気にまでなってしまう。

そのために何ができるのか。グレタの言うことを「立派だね」と言いながら何もしない人がいる(僕もそう)。それより文句を言ってもいいから自分の行動に責任をとろうよ。そう考えてしまう。企業なんかもっとそうだけど、アメリカや中国の発言を聞くと全く何ができるんだよって気にもなる。情けないね。自分がだ。

今はグレタはただの変人かもしれない。でも100年後に、「あの子があっていたよね」と言いながら過去を懐かしむようになったとしたら、その方がよっぽど最悪なんだ。
ろく

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