タカシ

最後の決闘裁判のタカシのネタバレレビュー・内容・結末

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

『真実はいつもひとつ!(声・高山みなみ)』


よく「羅生門」形式の作品、とか、三者三様の真実とか言うけどさ。
この物語における真実って妻マルグリットの視点のみが真実ということになって、男どもは自分の見たいようにしか物事を見ていない愚かな存在と突きつけてるんだよね。

だからもし、もしもだよ、マルグリットの真実すら彼女の主観の物語なんだと云う事になると、本当にこの作品の根幹すら揺らぐ、世にも恐ろしい物語になるんだが。

マット・デイモンとベン・アフレックが脚本を製造している段階ではベン・アフレックがルグリを演じるつもりだったんだろうけど、結果的には今のキャスティングがベストだったと思う。
まあ今乗りに乗ってるアダム・ドライバー力(りょく)に頼ってるとも言えるけど。
結果的にはベン・アフレックは儲け役だったなあ。

とにかくこの作品は二度目三度目がより楽しい作品のような気がする。
次は字幕で見ます…


ここから雑感。

今回は邦題がよかったと思う。
「決闘裁判」は実は英語では「trial by combat」と言って原題とは微妙にずれているんだけど、「The Last Duel」の直訳だとこの作品自体なんなのか意味不明になってたと思う。

マット・デイモンとジョディ・カマーはそれこそ同じ場面を三通りに演じてみせてそれぞれちゃんと印象が違うのがさすが(アダム・ドライバーは極端に印象が変わらなかった気がする)。
マット・デイモンなんか「かわいそうな騎士」→「馬鹿」→「馬鹿で粗暴」とちょっとずつヒーローとしての資格を失っていくのがすごいと思った。

後はこの作品外でのいろいろ。
記者が監督に質問して監督自身から「その見方は違う」と言われたり、キネ旬のレビュアーが批判されたり、原田真人監督のブログがあまりにも的外れでこれも批判の憂き目にあったとか。
ひとつの作品をどのように見てどのように思うのかは、人それぞれの自由なんだが、こと映画に携わる人がこれなので少し暗澹たる気持ちになる。

そうそう、私が吹替で観たのは、アフレックの堀内賢雄さんのファンだとかアダム・ドライバーの津田健次郎さんがいいからとか、いろいろあるんだけど、フランスが舞台なのに英語が聞こえてきた
のであれれとなったから、というのは秘密です。

しかしまあこれだけの傑作がこけちゃうんだから興行ってのはみずものなんですなあ。
今年のアカデミー賞でディスられてたのは、正直気分が悪かったです。

最後に、例によってYouTubeチャンネル「BLACKHOLE」の高橋ヨシキ、てらさわホーク、柳下毅一郎、utomaru各氏の対談が非常にためになりました。
セルBlu-ray吹替版にて。22.05.03
2022#002
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