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LAMB/ラムのこどものレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
3.1
んーまぁ最愛の娘を失った喪失感を抱えた夫婦が飼ってる羊が、あんなに可愛いハンヨウドン(???)を産んじゃったら、そりゃ育てるよねって話で。逆にあのまま羊小屋に放置しとくほうが虐待だし、その辺をさまよってた子を攫ってきたわけじゃないんだから、夫婦がした事はそこまで責められるものじゃないような気がする。たしかにマリアは銃ぶっぱなしたけど、彼女の精神状態を加味すればあの行動に正当性はあるし、一連の流れを「人間のエゴ」というデカすぎるレッテルに付するのには違和感。
寧ろ描きたかったのは、因果応報といった表層の一コマというより「命の巡り」的なことなのかなと思った。
やったことが帰ってくるというのは当たり前の世界で、彼らは命に触れ、愛を滾らせ、生のサイクルを回していく。
アダが現れてから、夫婦には日々の活力が戻り、セックスもするようになる。猛猛しい羊の角は強い性のモティーフとして使用され、マリアと過去に何か色恋あったであろうペートゥルの存在も、復活するリビドーの予感をもたらす。
ラストシークエンスでは、悲嘆の中にも新たな生命の誕生を示唆する描写もある。
大自然の中で営まれる、ありふれた生命のサイクル。
それを味付けするのが人外連中というのがこの映画の面白いところなんだと思う。
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