クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ！オトナ帝国の逆襲のninekoのレビュー・感想・評価

ノスタルジーという病と、それを超克するということ。「ひろしの回想」があれほどに涙を誘うのは、既に可能性など失われてしまったかもしれない(過去が時として残酷なくらい魅力的に感じられるのはそのせいだ)私達の人生を、それでもその一回きりの限界性、言い換えれば掛け替えのなさでもって優しく肯定してくれるからだ。本作の更なる凄みは、そのうえで未来にまで動線を引こうと試みているところにある。傑作と言わずして何と言おう。