タイの山奥にある小さな村に伝わる信仰。そこに代々携わる祈祷師にまつわるドキュメンタリーを撮るため、後継者である1人の女性の日常にカメラを回す。実際の祈祷中の様子や、村全体の信仰にまつわる様子を撮り続けていると、本来後継者となるはずだった祈祷師の姉の家族に、不可思議なことが起こり始める・・・的な物語。
山奥の小さな村に伝わる奇祭や伝承の意味を軽視した瞬間、たかがはずれたかのように不可思議な力が暴走を始めるといったような和モノホラーに精通する厄災の気持ちよさと気持ち悪さを残した一作。
哭声（コクソン）と比べてしまうと、呪術対決の騙し合いは弱く、人が狂気に陥る際が演技ぽい嫌いもあるが、國村隼のふんどし姿がなくとも、土臭さと湿気の高さは十分に味わえる。
そして実際に自分の身にも不可思議なことが起こる。鑑賞後、食べきったと思っていたはずのポップコーン（塩味）が、何故か下にぶちまけられていたのだ。自分のポップコーンでなければいったい誰のポップコーンなのかと奇妙に思ったのだが、精霊の仕業だとしたら地味なくせに結構迷惑。本作はこういった人間の常識が通じない世界にとても近しい村のお話なのであった（映画館の人すみません）。
