タイ版エクソシストみたいな感じではあるものの土着信仰ホラーの恐怖感はビンビンに伝わってくる。熱に浮かされたような東南アジアの穏やかな夜をあれだけ不穏かつ異様に描けるのは一つの才能であると思うし、起こった怪異現象の取っ掛かりが分からないというのは得体の知れない恐怖感がある。
モキュメンタリーホラーとしては良くも悪くもかなり見やすく、その手の映画が好きな人にとっては視点が優し過ぎて不満を抱くかもだが、苦手とする自分からするとかなり見やすくてありがたかったし、終盤のPOV視点の恐怖のフルコースはエンタメとしても抜群。このジャンルの映画にしては尺はやや長い気もするが、語り口が秀逸なのとジワジワと飲み込まれていくリアリティは感じたため、さほど時間が気にならなかった。