このレビューはネタバレを含みます
酷評されるほど悪い話だとは思わないものの、展開されるスケール感に反して話のスケールが相変わらずこじんまりとしてて何とも言えない感じである。特に敵があまりにも弱すぎるのと、以前に感じたようなワクワク感をマルチバース以降にはあまり感じることはなく、良くも悪くも型通りといった印象である。
個人的に驚いたのはスクラルの人を見捨てる選択をしたにも関わらず、そのことに対しての葛藤すらなかったことであり、そもそもの相手からして政治介入をきっかけに生まれたヴィランなわけであり、それはアメリカの闇への暗喩めいた表現でありながら、それをスマートに着地できなかったあたりに色々と思うところがあってしまった。非白人でありながらキャプテンマーベルに憧れる少女の目を通してその歪さを捉えるかと思いきや、そういう話にすらならなかったのでかなり興醒めしてしまったというのが本音としてある。一応擁護するならあれは一つのトロッコ問題であるとは思うのだが、それを語るにはサラリと流しすぎているし、キャラクターの深掘りも甘く、周知のキャラであることに甘えすぎている。社会派ヒーロー映画としてははっきり言って落第点。
期待のエンドクレジットもある程度想像の範囲内ではあったものの、それでもやはり多少のワクワク感はあったので期待感はまだ残っている。