つかれぐま

アステロイド・シティのつかれぐまのレビュー・感想・評価

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)
2.5
23/9/1@Wシネクイント

「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」に足を運ぶ程、彼の画は好きだが「映画は?」と言われると、実はそうでもない。観る者の没入を拒む低体温な演出があまり好きではないのだ。ジェネリックなキューブリック(と韻を踏んでみる)。

ネット上に溢れるウェス・アンダーソン風のAI動画。数年前までは彼にしか撮れないと言われていたその画風が簡単に真似され、アイコンのように消費される時代になってしまった。ならばと辿り着いたのが、今回の入れ子構造では?

カラー&シネスコの砂漠パートでは、従来通り完璧なウェス・ワールドを見せ、その舞台裏のドタバタをモノクロ&スタンダードで見せる。これは人間たちが苦労して泥臭く作っているものですよ、と。同じジェイソン・シュワルツマン主演『天才マックスの世界』のような天才ゆえの苦悩か。残念ながら、それ以上の面白さを見つけることは出来なかった。

言い換えれば、そもそもウェス作品が好きな人には「我が意を得たり」な一品であるが、特に新境地を開いたわけでもなく、ファン層が広がるような作品ではない。スピード編集と洪水のような情報量を控えめにしてくれた分、前作よりは良かったけどね。

「目覚めたくば眠れ(だったかな)」
この台詞の字幕は、英語の"You can’t wake up if you don’t asleep." とは意味合いが違うような気がする。考えすぎることを皮肉るようなユーモアが伝わらないのでは?