方眼

アステロイド・シティの方眼のレビュー・感想・評価

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)
4.2
2023年”Asteroid City”。”You Can't Wake Up If You Don't Fall Asleep”、これは母の喪失の物語であり、虚業の肯定。お話は多層構造、観客(我々)>映画(本作)製作者>テレビドキュメンタリー(モノクロ)>演劇製作者>脚本家>が作る物語(カラー)、となっている。画面構成も多層にしていて、手前で母の死を知らせる(バッドタイミングで)父と子たちがいる後ろに、テント張りや工事の人々。同じくコテージでの女優とカメラマンとの対話でも、画面の端に後景が見切れる。カメラ移動や編集は他作に比較しゆっくり目。色調も黄と青で多層、宇宙人は統合された緑。アンダーソン監督はヒューストン出身で学生演劇経験者。母親は不動産ブローカーで、少年期に両親は離婚している。そういった出自に近い今作は、ヨーロッパや日本ものよりも、逆に引いた距離感を保っている。多層な画面内の移動は人物もカメラも横、または横回転。上下は宇宙人関係。あの脱力デザインも、照れなんじゃないか。奥行きを使った移動は、列車と自動車と、そして演劇人たち。無かったシーン、無かったセリフが、映画的感動を呼ぶ。そもそもアステロイド・シティなんて存在しないし。ネーミングセンスは、3人の魔女(Andromeda,Pandora,Cassiopeia)と、名前記憶ゲームで発揮。
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