ルイまる子

アステロイド・シティのルイまる子のレビュー・感想・評価

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)
3.5
1950年代のノーマン・ロックウェルのイラストレーションそのものの映像美です。ミントグリーンやパステルカラーに太陽が眩しいアメリカ南西部の砂漠の風景。一枚一枚がきれいな絵になっていて美しい。でも、なんか寝てしまいそうなドヨ〜ンとした、脳みそが溶けてしまいそうな時間の流れがアメリカらしい。
【若干ネタバレ含みます】
何もない砂漠に核実験をしていたりと、過激なことがあっちサイドでは同時に行われていたり、そこへ隕石を取りに来た宇宙人が(スピルバーグの未知との遭遇オマージュ?)律儀にまたその隕石を返しに来たり(その返しに来た行為があんな素敵な映画をありがとうっていう意味かな?、いやいや、考えるな!)そのベストショットをカメラで撮ろうとしたら、宇宙人はポーズしたり…
ナンセンスで面白いのかなんかよくわからないが、独特な世界に引き込まれた。
ストーリーは3重構造になっていて、山があったようにも思えるし何もなかったようにも思える。終始ドヨ〜ンとした空気感だ。

天才児5人が撮影待ち?時間に、歴史上人物の名を順番に言うが、今まで出た全ての人物の名前に自分が思いついた名前を足していくゲーム、どんどん言わなくちゃいけない名前が長くなるが、天才なので、いくらでも覚えてるから誰も間違えないというドヨ〜ンとした空気感。オチはなかったと思うが、あれは何か意味があったのだろうか?(考えるな!)

ごちゃつきまくっているが、とにかくそれをただただ眺めていればいいんだろうね、という作品のようです。

一つ理解出来たことは、至るところにアメリカの自虐ギャグや昔のアメリカ映画のノスタルジーが込められていること。一つの発見としては、
1980年代の大スター、マット・ディロン!!!
が出ていたとこ。ちょい役でね。大勢の人が集まるなんだかテレビ番組的な音響技術士の様な役で、中央には女性アナウンサーが居て、これが、マットが若い頃、超かっこいい時代に小ヒットした粋な恋愛映画
『シングルス』の相手役
ブリジット・フォンダ!!(ジェーン・ファンダの娘、ピーターフォンダの孫?だったか)
にそっくりで、このジョーク私は理解しました。あと南部のカントリーミュージックが急激に演歌みたいに感情を込めて激しくなる下りも、「カントリーミュージックあるある」なんだろうな〜と思った。reckon reckonをやたら連発していたが、南部の人の「わかった」の言い方なんだな。他にも沢山小さいギャグを入れてるんだろうが、これは間違いないと拾えたのはその程度でした。それ以外のジョークについて自信はない。というか全部それぞれ自分なりの解釈で正解なのだろう。

ディテールが可愛かったので、雑貨屋に行ったみたいなときめきは味わえて、そこだけは好きでした。
最後に流れる歌詞の通りに、「寝なければ起きれない」だったかな、その様に色々考えずに感じてからやっと気づくんだ?というのが、監督の願いなのかな。←ここ分かってなかったらごめんなさい。
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