藍紺

イノセンツの藍紺のレビュー・感想・評価

イノセンツ(2021年製作の映画)
4.1
ノルウェー郊外の団地に住む4人の子どもたちの交流が、次第に軋轢を生み取り返しのつかない状況に陥ってしまう。「童夢」から影響を受けた作品とのこと。終始緊張感が凄い。不快な音と不安を煽る劇伴も相まって徐々にストーリーが煮詰まっていくにつれ息苦しさを感じた。生殺与奪を自由に操る圧倒的超能力を開花させ歯止めが効かなくなった少年とそれを止めようとする少女たちの熾烈な攻防戦は見応えがあった。
特にベンとアナが池を挟んで対峙する静寂のサイキックバトルは圧巻。波打つ水面、変形するブランコ、力に反応する団地に住む子どもたち、そして何も気付かない大人たち。
貧困、ネグレクト、移民、ヤングケアラーと現代社会が抱える問題も上手く取り入れ、まさに”今”を描いていて大人の私としては胸が痛く無力さを感じずにはいられない。子どもながらに暴走する力を自分が食い止めなければと決意するその瞳と小さな体にはグッときてしまった。センスを感じるエンドロールの仕掛も凝ってて良かった。

帰宅後すぐ久々に「童夢」を読み返したら、まー面白いw やっぱり傑作ですね。
藍紺

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