JunichiOoya

ある男のJunichiOoyaのレビュー・感想・評価

ある男(2022年製作の映画)
3.0
見ながら、まるで小説を読んでる気分がして(つまり映画的なおもしろさはそれほどでも…)「さて、原作はどんな塩梅?」と思って買って帰った。

360ページほどのボリュームの原作だけど、あまりに読みやすくてデビューの頃の平野さんとはまるで別人の筆致。それなりに複雑な筋なんだけど数時間で読み終えてしまって、淡白だなあという印象。

とはいえ120分の映画にするために端折られたエピソードも多く、そのことで特に旅館の次男坊の存在感が薄くなってしまったんじゃないかしら。

原作にもそれほど奥深さは感じなかったけど、映画になってよりサラッとしてしまったかな。もっというととっ散らかった逸話たちの整理がしきれていないように思いました。

河合優実さんはチョイ役よりたくさん台詞のある役が良いかな。爆弾犯人の次は詐欺師、という柄本さんには少し食傷気味。

一方で、ルネ・マグリットの絵、バーでの作者(平野さん)と弁護士の会話シーンはそれぞれ原作と違った使い方がされてて、これは映画の方が気が利いてるな、と思いました。
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