このレビューはネタバレを含みます
結構ショッキングな描写も続くので、そこの是非(それを映す必要が果たしてあるのか)はあるにせよ、とても質の高い映画だと思います。
滴り落ちる雫が表象する暴力と死のイメージ。自殺を企図する妻を見つめる佐藤二朗の眼。ラリーの末にやがて止まる卓球ボール。
母親の死を娘がどう受け止めたかは詳しく描写されないけれど、そこから物語は始まってたんでしょうね。
万引きもうまく誤魔化せない父がこのまま隠し通せるはずがない。いずれ終わりが来るのならせめて自分の手で、、、そういうことなのかなと。
“役に立たないから”
“一生ケアをしてもらう側だから”
自己を肯定できず、死を選び取ろうとする者がたくさんいるこの異常な社会で。
性癖のために人を殺める愚か者は、「死こそ当人のため」と正当化する。
時を遡りつつ現代の病理を語る、よくできた胸糞映画だなーと。
佐藤二朗は(あのパブリックイメージがあるからこそだけど)こっちの方が輝いてるし、伊東蒼にはまともな親のもとで育った子の役を与えてあげてほしい。です。