MALPASO

箱のMALPASOのレビュー・感想・評価

(2021年製作の映画)
3.7
映画『箱』
@東京国際映画祭
アメリカ・メキシコ

メキシコの荒野の町が舞台。
父の遺骨の入った箱を引き取りに来た少年。しかし、死んだはずの父親が。
少年が巻き込まれていく闇。

深い闇に引き込まれ、落ちていく少年。静かに進む物語だけど、内容は激しい。麻薬カルテルとは違うメキシコの暗部が描かれていく。ロング・ショットで広陵とした寂しい風景が少年の置かれた哀しい状況をさらに強調する。雲の切れ目から一瞬見えてくる希望と幸せ・・・しかし。主人公を突き放したような設定は切ない。とても切ない映画。

徐々に少年に親切になっていく男。イーストウッドの『クライ・マッチョ』を思い出すが、真逆の方向のお話。「映画は父殺し」ショーン・ペンの『ロンリー・ブラッド』を久々に想い出す。

少年が着ているピンク・フロイドのウォールの黒いTシャツ。

タイトルの『箱』、ラストまで大事。エンドロールは無音。

少年の成長の描き方が素晴らしい。ラストはまた希望を見せてくれる。
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