大島育宙

フリークスアウトの大島育宙のレビュー・感想・評価

フリークスアウト(2021年製作の映画)
4.3
とてつもなく面白かった。
ダラダラと長いのだけ弱点だけどそれも味に感じられるくらい、使い古されてきたテーマへの光の照らし方がことごとく新しい。

ナチス映画として意外ととても解像度が高い!
掴みでヒトラーの歴史的場面が出ると温度が上がる。ナチスの悪行や狂信もきちんと描かれる。

獣人らマイノリティを見せ物にして金儲けして終わりだった某ミュージカルとは違って、彼らの自発的な旅であることと、初期アベンジャーズを彷彿とさせるチームワークの悪さが小気味良い。

マイノリティだから辛い、というだけじゃなく、まず若い女子だから危険な目に遭うことや、
親近感を持ったらセックスしまくることなど、
彼らのマイノリティ性とは直結しない被害や快楽の描写がふんだんにある。フリークスを映画自体はフリーク扱いしてないのだ(某ミュージカル映画と違って。)

一人一人の能力の絶妙なしょぼさが、寄り集まってもちぐはぐで、主人公特有の全能感がないところこそハラハラ見てしまう理由かもしれない。