SANUKIAQUA

パワー・オブ・ザ・ドッグのSANUKIAQUAのネタバレレビュー・内容・結末

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

1925年、モンタナ。
この圧倒的に美しい荒々しくも豊かな風景。
これだけのスケール感のある映像は
大きなスクリーンで見たかったかも。
馬や牛などのリアルな感じが逆に新鮮。
生々しい解体場面もあるので
苦手な人は注意を。
馬をぶつ場面とかもあるけど
今時どうやって撮影してるんだろう。
CGも上手く使ってるんだろうか。

早回しでみたりしたら
この作品の面白さは絶対わからないし
この尺でじっくりと描くことに意味がある。
セリフは最小限で
人物の考えてることなどを
想像する楽しみがある。
そういう余白がある。

物語が進むにつれて
どんどん登場人物、
主な4人の力関係や
印象が変わるのが面白い。

フィルを演じる
ベネディクト・カンバーバッチの
繊細な演技に魅了される。
彼の抑圧された虚勢の姿、
インテリな面、素の自分を出す時
複雑な人間性を素晴らしく表現している。
ピーターに対する嫌悪、恐れから
共感、そして愛情まで
変化していく様が興味深かった。

そしてピーター!
最初油断していた。
どこか不気味だなと思っていたら
最後めちゃ怖かった。
あの冷静さ、初めての殺人ではあるまい。
果たしてタイトルの“邪悪な犬“
が指しているのは
母親を追い込んだフィルなのか
いや、そうではなく…

大学出でありながらあえて田舎で
カウボーイとして生きるフィル。
スニーカーや洗わないでジーンズを着る
新しい時代へ生きていくピーター。
同じ性質を持つ2人は
過去と未来が交錯する今そのものか。
SANUKIAQUA

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