ぶみ

コンペティションのぶみのレビュー・感想・評価

コンペティション(2021年製作の映画)
3.0
映画業界の見てはならない裏側。

ガストン・ドゥプラット、マリアノ・コーン監督、ペネロペ・クルス、アントニオ・バンデラス、オスカル・マルティネス共演によるスペイン、アルゼンチン製作のドラマ。
大富豪が映画を作ろうと思いついたことから、天才監督、世界的大スター、ベテラン一流舞台俳優の三人が集結し、ベストセラー小説の映画化に挑む姿を描く。
主人公となる監督をクルス、スターをバンデラス、俳優をマルティネスが演じており、主要キャストは、この三人のみと言っていいもの。
物語は、映画を作ろうとリハーサルに挑む三人の会話劇を中心に展開するが、舞台はほぼ豪邸にあるリハーサルスタジオのみであるため、ワンシチュエーションものの雰囲気たっぷり。
そのキャストから想像できるとおり、皆かなりクセ強めであり、まさにエゴと個性のぶつかり合いである反面、全員肩書は大物ながら、小物感が見え隠れするのも面白いところ。
そのため、一筋縄では行かないのは目に見えており、それが時にシュールに、時にコミカルにと、微妙にズレている不思議な空気感を際立たせている。
何より、そもそも監督然り、俳優然り、個性がなければ生きていけないような世界であることは想像に難くなく、実際の映画業界の裏側もこんな感じかと思うと、思わず笑みがこぼれてしまうところ。
内容としては、延々とリハーサルの台詞合わせが繰り返されるため、冗長な面があるのは否めないが、終盤のキレ味は悪くなく、観終わった後に残る独特の爽快感が特徴的であるとともに、とあるシーンにあるクルスの姿が目に焼き付いて忘れられなくなる一作。

自我のエクササイズよ。
ぶみ

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