Mariko

ベルファストのMarikoのレビュー・感想・評価

ベルファスト(2021年製作の映画)
4.0
これを観るにあたって、北アイルランド紛争について知識としては知っていても、(実質)無宗教の人が多い日本で育ちキリスト教への造詣も浅い自分には感覚的に色々わからないであろうことを懸念していたのだけど、その時代が描かれそのことがすべてに関与してはいるものの、ストーリー自体は少年バディと家族のあり方に焦点がしぼられているのでとても観やすかった。

まず、少年バディが夢中になるあれやこれやが自分の子供時代と重ね合わせられるものでいっぱいだったことが何よりのご褒美。TVではスタートレックが放映され、映画は『リバティ・バランスを射った男』『真昼の決闘』。スタートレック(もちろんTOS)で William Shatner と Leonard Nimoyのクレジットのところを出すあたり流石だなあと思っていたのに続き、真昼の決闘はこういう引用ではよくあるけれど、リバティバランスで思わず「おおお!」と声をあげそうになった私。
そして映画館ではなんと"Chitty chitty bang bang"!!これはもう泣くしかない。ケネス・ブラナーの非常にパーソナルな思いを込めた映画に、自分もパーソナルな思い入れで反応した感は最高。
ちなみに"Thor"のコミックには結構笑ったけど、自分がコミックでは読んでないので監督に敬意を評して終わった笑。

そして抱える問題自体はとても重いけれど、家族で交わされるやりとりがなんともユーモアに満ちていて、ふふっと笑みがもれるようなあたたかみが全編にあふれている。
キャストも皆素晴らしく、話してる言葉がひときわ聞き取れなかったママはノースリーブファッションが最高だった。

音楽も隙がなく素晴らしい...と思っていたのだけど、終盤いちばん良いところでいきなり80年代臭いっぱいの空間系シンセの上にサックスの音(要するにエリック・セラな感じ)が流れてきて「えっ、なんで?!」とものすごい違和感を感じて、何か意図(回想が終わったことを示したい、とか)があった?と首を捻ってしまった。意図があるにしても最後までヴァン・モリスン節で行ってほしかった…。
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