このレビューはネタバレを含みます
好みの問題もあるかもしれないけど、おれは好きでした。
平和なところから、いきなり襲撃が始まるとこが冒頭にあるの良き。登場人物といっしょに混乱の中に一気に放り込まれる。
物語って、結局は作る側が取捨選択してる。だから、これはあくまでケネス・ブラナーの思う、人生なんだと思う。リアリティがない、というのは、その人の主観でしかない。
個人的には、主人公の子供、中年期の父母、老年期の祖父母、それぞれの年代からの視点が見えて、面白かった。多面的に人生を捉えてくれている。
ケネス・ブラナーはシェイクスピア俳優だから、言葉のセンスがやっぱり良い、名言が多い。でも浮いた言葉になってない、ちゃんと会話の中での言葉になってる。
ただ、最後のジュディデンチのセリフは意図的に浮かせてる。あれはあれで良いと思う。所詮は物語ですしね。懸命に生きていた人たちがそこに居たことを印象づけている。あれだけのドアップでも粗が見えないのはさすがですし、扉を閉めた後、彼女の、残された者の悲しみが扉越しでも身体の震えでちゃんと感じられる。シンプルだけど、だからこそいろんなものが伝わる。素晴らしい。
すごく細かいんだけど、暴動の中で洗剤を盗んだ息子とそれを促した女の子に対してかける言葉の選択の違いがリアルに感じた。
自分の息子には、またこんなことしたら殺すわよ、なのに対して、それを促した女の子には、またこんなことしたら叩きのめすわよ、ってなってた。
自分の息子のほうが言葉遣い厳しい笑
訳の問題で、実際は同じ英語使ってたのかもしれないけど、面白かった。
さりげないユーモアも良かった。ユーモアってやっぱりさりげないものよね。
エンディングの音楽も好き。聴きながら身体動かしちゃったわ。
100分もないのに、こんなにいろいろ詰めることができたのはすごいと思う。