テーマは北アイルランドの、宗派や色々絡み合った対立問題で、重いテーマではあるのだろうけど、画面いっぱいに動き回る主人公バディの愛くるしさに救われました。
まだ人や世の中の『闇』を知らない、光のような無垢な存在。
戦いごっこではなく、大の大人達が本気でいがみ合い、罵り傷つけ合っている。
幼いバディの眼に、大人たちの行いはどのように映っていたのだろう。
これがお兄ちゃんとか、お母さん目線だったらもう少し暗い映画だったかな、私はついお母さん目線でも観賞してしまうので、未払いの税金や日々のやりくりに加え、ずっと住み慣れた土地を離れるなんて、現状がいくら悲惨でも、いい歳をして全てを1からやり直すなんて、心労半端ないわあ…と思いました。
外の世界が悲惨だからこそ強調される、家族愛がなんだか染みます。お母さんは時に怖いけど、バディの身を案じているからこそだし、おじいちゃん、おばあちゃんの、冬のひだまりのような温かさも良いな。
『カトリックのお家』の（バディからしたら何それ？なんだろうけど。）大好きな女の子にも別れを告げて。
バディの輝きが、この先きっと少しずつすり減ってはいくのだろうけど、それが出来るだけ最小限でありますように…と思ったし、そう思わせてくれる良い映画でした。
