イスラエル/パレスチナ紛争でアイルランドが西側諸国では珍しくパレスチナ側を支持していることを知って、前から気になっていた(けど重そうだから先延ばしにしていた)この作品を観ました。
平和な地域に暮らしていると不思議で仕方ない「なぜ紛争地域から即避難しないのか」という心情が、ひとつの家族とその周囲を中心に丁寧に描かれていた。
そして普通の市民がじわじわと対立に加担せざるを得なくなっていく構造も。
お父さんが競馬狂いで借金作っててまぁまぁクズなんだけど家族を大切に思っていたり、祖父母がお互いをいたわりあっていたり、愛にあふれているので、事前に懸念していたよりは重苦しくなく
作中でも映画という虚構のもつ夢に自己言及されていたのが、未来のケネス・ブラナーを予感させて希望が持てる内容になっていました。
色鮮やかで美しい(おそらく現代の)工業都市ベルファストの上空から1969年のモノクロームの(灰色の)街の通りにズームしていく冒頭と、叔母さんの少し調子はずれのダニーボーイが印象に残りました。