KnightsofOdessa

カウンセラーのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

カウンセラー(2021年製作の映画)
4.0
[] 80点

傑作。出産を控えて休職するカウンセラーが休職前最後のセッションを終えたときに、突如現れた患者とセッションを開始する。カウンセラーは倉田、患者は吉高というんだが、倉田は病院のネームボードから自分の名前を外し、吉高は問診票に名前を書かないという開始時点で、二人の名前は剥奪され、互いのペルソナは混ざり合っていく。手洗いで出会い、ワカメ洗いで入れ替わるというのも興味深い。スマホからふと目を上げると舌を出していたのが心底恐ろしかった。妊婦という動作の遅さと他者への警戒心が冒頭で示されるわけだが、それによっていつの間にか吉高に手を握られていたり、吉高が倉田の領域にぐいっと侵入してきたりという恐怖を共有しながら、嫌らしい時間を緩急つけて描いているのが良い。いやーな映画。とても良い。
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