KnightsofOdessa

コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ーのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

4.0
[Could be a doctor] 80点

2022年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。なぜかずっと観るタイミングを失っていたのでようやく。物語は1968年、ホテルのディナーで幕を開ける。弁護士の夫を持つジョイは世界から隔絶されていて、反戦運動も磨りガラスの向こう側にしかない。やがて、妊娠が原因で心疾患になったと知ったジョイは、藁にもすがる思いで"ジェーン"に連絡し、新たな人生を迎え入れる。映画には反射が多く用いられる。それは世界とジョイの距離感を表していて、徐々に運動の中心に移動するにつれて多重反射は減っていく(夫と和解した瞬間も鏡の中というのは些か不穏だが特になにも起こらず)。ジョイがジェーンの活動の中心へと分け行っていくにつれて、力を握っていた男たち(特に序盤の病院のシーンは醜悪すぎる)から身体のコントロールを奪い返していき、彼らは画面から消されていく。とても良い。また、画面上に明白な敵を置かず、女性たちが見た同性の問題として社会を見る形になっていて、その潔い簡素化も良いと思う。
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