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THE GUILTY/ギルティのTakahisaHaradaのレビュー・感想・評価

THE GUILTY/ギルティ(2021年製作の映画)
3.2
デンマークのオリジナル版のハリウッドリメイク。
町山さんはハリウッドリメイクにあたって人種問題を絡めてくるんじゃないかと言ってたけど、そこまで大胆な改編はなかった。
https://miyearnzzlabo.com/archives/55492

大胆な改編はないけどオリジナル版からの変更点は色々あって、
・山火事が起きて色々逼迫してる
・主人公ジョーの喘息。オリジナル版以上に心身とも追い詰められた感が出てる
・主人公に娘がいてかつ接触できない、ヘンリー(オリジナル版のミケル)と同じ境遇になってる
・序盤、主人公が海?のポスターを見つめる演出あり
・ラストの電話先が記者だと明示されてる

このあたりは特に可もなく不可もなくな変更点という印象。娘がいる設定は元々仕事でだけ言っていた「電話を切るな」がプライベートまで波及する、みたいな効果も生んでた。海のポスターは娘が海なのかクジラなのかが好きで、エミリーの水族館の話に共感してしまう…みたいなことだったのかな。

・停車するバンとパトカーが写ったり、エミリー(オリジナル版のイーベン)が車を停めるシーンで鼓動のBGMが入ってたり、いくつか演出が足されてる
・主人公がエミリーを説得するために罪を告白する展開なし
・オリバーが生きてる

このあたりはオリジナル版と比べて改悪だなと思ってしまった変更点。あそこだけいきなり現場にカメラが飛ぶ映像も、緊張を煽る鼓動のBGMも、足された演出がノイズになってたと思う。
罪の告白がなかったり、オリバーが生きてたりする展開は、オリジナル版の懲罰・贖罪プロットを結果的に薄めてるなーって感じだった。特に贖罪の要素の方は、オリジナル版の流れ(イーベンに感化され、自ら陸橋に導いたに等しいイーベンを救うため罪の告白をし、それが結果的に贖罪に繋がる)とは違っていてより薄まってる印象。
その代わりに、娘とは会えるが自分の罪を抱えて生きていくのか、娘とは当分会えなくなるが自分の罪を認め生きていくのか、という葛藤が加わっていて、懲罰・贖罪の要素が薄まった代わりに試練の要素が加わったとも言えそう。