幕のリア

ジギー・スターダストの幕のリアのレビュー・感想・評価

ジギー・スターダスト(1973年製作の映画)
4.4
終演後拍手が劇場を包む。
45年前のボウイのライブ疑似体験に感激。

山本寛斎の華麗なコスチュームに身を包み、長い四肢とメイクに彩られた妖しい美しさ。
世界のどこかに住みよい世界があるはずと信じるエイリアンな若者にとってのシャーマンか、はたまたグルか。
神の化身かと見紛う白蛇のような表情や肉体と纏った鱗を鮮やかに脱皮させ、観る者を惑わせる。

決して自己陶酔だけに溺れない計算されたステージング。
ミックロンソンが掻き鳴らすギターが圧巻だが、リズム隊のタイトなビートも素晴らしくバンドサウンドとしての唸りや歪みは高揚感を煽り、45年前のライブを再現させたミキシングは臨場感を迫る。

ヒットパレードではない演劇的空間を完成させたボウイはこのライブを最後にグラムロックの虚構から離れることになる衝撃。

荒々しいハンディカメラによる映像は完成度が高いとは言えないが、脳髄にまで届いた熱量の大きさに目を見開いたまま陶酔するしかなかった。

明日の自分の仕事に何らかの奮起を喚起させねばと小さな決意が湧いたのを記しておこうと思う。
そう言えば、少し前に観たイギーのドキュメンタリーの後にも似たような事を思いダメ元のアクションをした小さいながらも何とか貫徹させたい仕事の詰めが明日に控えている。
イギーとボウイに激励されたと勝手にマイストーリーに仕立ててしまうのは気恥ずかしいけれども、鼓舞される契機があるんならそれはそれでいいと思えた。

2018劇場鑑賞51本目
幕のリア

幕のリア