KnightsofOdessa

永遠に続く嵐の年のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

永遠に続く嵐の年(2021年製作の映画)
2.5
[] 50点

コロナに関わるオムニバス映画。昨年の『七人楽隊』と同じくどうせ公開されないだろうと思ったら、NEONが絡んでたのでもしかしたら…などと思った(もしかしました、普通に配信してます)。ジャファル・パナヒ篇は可愛いイグアナと完全防備の老母で笑わせてくる心地よい一篇。演出なのか素なのかギリギリのラインを攻める老母のキレッキレの消毒芸が最高。"パナーが電話に出てくれないの"→出てやれよww昨日見たぞwwと。アンソニー・チェン篇はロックダウンで仕事が無くなりそうな父親とテレワークで家計を支える妻と外に出て遊びたい小さい息子を描く一篇。ここまで人生に近いことをやられると同時代を生きる人間としては食傷気味(一方、同時代の記録としては価値がある)。一番真面目に企画に挑んでたとは思うけど、テーマが絞りきれていないのを同時代の記録を言い訳に逃げてる気はする。マリク・ヴィタール篇は別々の里親の元に暮らしていた三人の子供たちとの交流を描く一篇。アニメ演出等が上手いとは思うけど、コロナはあまり関係なくなる。ローラ・ポイトラス篇はコロナによって広がった監視サービスの陰謀を描いた一篇。内容は興味深いが、同じシーン(しかも全然上手くない)が何回も登場するし、終始活動報告みたいな感じで疲れる。ドミンガ・トロマイヨール篇は欠片も記憶になし。メモには"テント"とだけ書いてあった。確かにテントは出てきた。デヴィッド・ロウリー篇はクライドという少年の遺体を持ち帰って欲しいという手紙を読んだ女性を描いた一篇。『A GHOST STORY』の断片みたいな感じ。パナヒとチェンが"それでも命は生まれてくる"みたいな感じだったのに対して、ロウリーは死者についての物語だったのが印象的。ソトマイヨールのせいで朦朧としていたのでもう一回見直したい。アピチャッポン・ウィーラセタクン篇は蛍光灯に群がる虫を描いた一篇。雨音、羽音、蛍光灯の明滅のイライラに"EVERLASTING STORM"が重なる。ベストはパナヒとアピチャッポン、次点でロウリーというなんの驚きもない結果に。点数は全体の平均なので悪しからず。
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