Michihiro

オッペンハイマーのMichihiroのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.7
2024年公開。配給はユニバーサル・ピクチャーズ、ビターズ・エンド。R15+。脚本・監督・製作はクリストファー・ノーラン。主演はキリアン・マーフィー。その他出演者にマット・デイモン、ロバート・ジョン・ダウニー・Jr、フローレンス・ピューら。カイ・バードとマーティン・J・シャーウィンによる伝記『オッペンハイマー 「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇』を実写映画化。世界初の原子爆弾を開発した「原爆の父」として知られる理論物理学者ロバート・オッペンハイマーの生涯を描いた伝記映画。第96回アカデミー賞最多13部門ノミネート、第81回ゴールデングローブ賞最多5部門受賞、製作費約1億ドルを投じた3時間の世界的大ヒット作である。「大恐慌」「第二次世界大戦」「ナチス・ドイツ」「マンハッタン計画」「冷戦」「赤狩り」アメリカ激動の時代に生きた世界の運命を握ったオッペンハイマーの栄光と没落。色分けされた時系列の複雑さや要所要所に入り込むオッペンハイマーの脳内、化学反応、宇宙を表現する壮大な神々しい描写や音楽、実験シーンの緊迫感、それらはクリストファー・ノーラン監督ならでは。人類史上初めて原子爆弾が投下された日本は世界で唯一の被爆国と言うことにのみフォーカスするのはお門違いかもしれないが日本人としてこの映画を観れたことに大いなる意味を感じる。あくまで彼の生涯を描くものであり、到底容認できないものの、被害者(創造神)と加害者(破壊神)という側面も持ち合わせている。"自らの正当性"を行動原理とするアメリカ型民主主義の真髄を見た気がする。「アンサーの映画を日本人として作らなくては」、山崎貴監督の言及にあるように「核」をタブー視せず、様々な意味を込めて日本映画界の至上命題の1つであって欲しい。

"1人の天才科学者の創造物は、
世界の在り方を変えてしまった。
そしてその世界に、
私たちは今も生きている。
Michihiro

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