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オッペンハイマーのxavierのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.5
この男が、世界を変えてしまった…
第2次世界大戦下、アメリカで立ち上げられた極秘プロジェクト「マンハッタン計画」。これに参加したJ・ロバート・オッペンハイマーは優秀な科学者たちを率いて世界で初となる原子爆弾の開発に成功する
しかし原爆が実戦で投下されると、その惨状を聞いたオッペンハイマーは深く苦悩するようになる。冷戦、赤狩り−激動の時代の波にオッペンハイマーは飲み込まれていくのだった…
ストーリーはこんな感じ。
言わずと知れた今年のアカデミー賞作品。オッペンハイマーが原爆を作り、その後投下された事により、苦悩する姿が全編で繰り広げられるのかと思っていたんだけど、その話と並行して、オッペンハイマーと対立するルイス・ストローズの事も描かれる
そして、その話が交互に描かれるもんだから気を抜くと時系列がごっちゃになって、最初は分かりづらかったなぁ…

それにしても、オッペンハイマーという人物、人物像を掴みにくかったわ。
原爆を作ることは積極的では無かったくせに、ナチスが開発を急いでいると知るや否や"ナチスによって世界がボロボロになるぐらいなら、先に叩いてしまおう!"と俄然やる気になったり、原爆実験まではノリノリだった割には、投下後は見るからに落ち込んだりするんだから。これがオッペンハイマーのホントの姿だったら、支離滅裂な人なんだなぁ…と思ったかな。

一方、この作品のもうひとりの主役と言っても過言ではないストローズ!
こいつがクセモノなんだわ。
人当たりもよく仕事も出来るストローズ…
アメリカ原子力委員会の委員長でもあるアメリカ海軍少将により、原爆の製造を任されるオッペンハイマーなんだけど、この2人の間には因縁が有るんだよね。
オッペンハイマーはその事を忘れるぐらい気にはしてないんだけど、ストローズの方は…
その事と水爆開発の事で2人は対立していく。第2次世界大戦後、原爆開発時にソ連のスパイであったのでは?という疑いに、妻や元恋人が共産党員だった事から彼も共産主義なのでは?という疑いが掛けられ、彼は査問委員会に掛けられる。そして、その中で出てくるのは、彼に不利になる事ばかり…
何故?と不思議に思うオッペンハイマーなんだけど、実は……っていう展開が繰り広げられます。作品の後半は、そこら辺の話が中心になるんだけど、オッペンハイマーVS査問委員会のバチバチ感がヒリヒリする緊張感があって引き込まれたな…

上映時間が3時間!だったものの、最後までダレる事も無く面白かった。
ただ核戦争の悲惨さももうちょっと描いて欲しかったかな。見応えがあった作品だけに、そこら辺は残念でしたね。
まぁ、それにしても豪華な俳優陣。キリアン・マーフィーにロバート・ダウニー・Jrマット・デイモンにケネス・ブラナー、エミリー・ブラント、フローレンス・ピュー
そしてアカデミー賞男優でもあるラミ・マレック。彼、ちょっこっとしか出てこないんだけど、結構インパクト大です。
後、予備知識をある程度、入れて置くと理解度が上がると思います。
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