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オッペンハイマーのるのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

2回目感想!↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

2024/4/15 バルト9新宿 ドルビーシネマ

ドルシネの上映回がもう朝イチしかなくて頑張って早起きして観てきた🥹
初見はまじで内容追いきれなくて、セリフだけが耳からすり抜けていった感があったけど、今回ちゃんとオッペンハイマー周辺の登場人物や出来事とその時系列、物理に関してもサラッとだけどお勉強して観に行ったらかなり解像度上がった!
やはり何事も教養なくして楽しめないなと感じた

ストローズは調べれば調べるほどオッペンハイマーと相性悪そうだな〜と思った
チューターに毒盛った件、結局あれバレたものの親が速攻介入してきて退学免れたみたいな記述読んだけど、ストローズは家業の経営が傾いて、やりたいこと諦めて靴売り手伝ってたってあったから、わたしがストローズでも僻むし妬む
ストローズがどのくらいオッペンハイマーのバックボーンを知ってたかは知らないけど
元々オッペンハイマーに対してはある程度尊敬の気持ちがあったように感じたんだけど、その分卑しい靴売り発言とか公の場で馬鹿にされたのがより腹立ったんだろな〜
有能な人間だからといって、必ずしも素晴らしい人格を持っているとは限らないっていうのを心に留めておきたい

初見でトリニティ実験見た時はとにかく恐ろしくて、それ以外何も考えてなかったんだけど、今回は激しい光と遅れてくる衝撃音に「ああ、教科書とかで見た“ピカドン”ってこれのことか」となった
改めて原子爆弾って恐ろしいな

そして科学者たちの実験が終わってからの用済み感、、、
確かにやることはやってくれたしもう何も相談することもないんだろうけど
関係者でありなが、日本への原爆投下すらも一般市民と同じようにラジオで聴かされるのはだいぶ扱いが雑に感じた
まあ開発すら情報分離してたから当たり前の対応なのかもだけど

原爆投下成功後、オッペンハイマーへの歓声が悲鳴のように聞こえる演出がとてもとても刺さる!
成功したことへの喜びや周りからの賞賛、被害者への自責の念という矛盾した気持ちの表し方が上手すぎる
今作でもかなり好きなシーン(好きって表現の仕方はちょっと不適切かもしれないけど)

ロシアのスパイとかも初見じゃピンときてなかったけど、ちゃんと知った上で観ると、実験中に「危ないから頭下げて!」ってやたら注意されてたあいつか(笑)となった
内容に混乱しなくなった分、セリフとか展開についていく余裕も出たので、1回観る→勉強する→2回目観るがわたしにとってのベストだったなと思う
本当ノーラン監督は何度も劇場に足を運ばせる天才だな!





初見感想↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

クリストファー・ノーランは1番好きな監督だしずっと公開待ってた!!!!!
広島で生まれ育ってそこらの同年代より平和学習を丁寧にやってきた自覚があるから作品を観た後どういう気持ちになるか不安だったけど、映画館で観るべき作品だとわたしは思った

やっぱり原爆投下の地域選定会議と試験爆破のシーンは怖すぎて泣いた
選定会議はなんとなくヒトラーのための虐殺会議を思い出した
みんな普通の顔して人間を大量に殺す計画を立ててるんだよ
恐ろしくて涙が出るってあんまり日常生活で経験ないし、これはお家で観てたら味わえない感覚だなと思った
でも泣いたせいでコンタクト片方取れてしまって最後の方はほぼ片目だけで観てた🥲最悪

原爆投下の前後については2月に帰省した時に原爆資料館である程度しっかり詳しい記述を読んでたから内容もスッと入ってきたんだけど、それ以外の部分がまーーーじで難しい
ストローズとのことや公聴会についてはちゃんとオッペンハイマー事件というものを勉強した上でもう1回観たい
とりあえずオッペンハイマー事件の辺りは、オッペンハイマーに恥かかされてめっちゃ怒ったストローズがロシアスパイ疑惑をかけて粘着質な仕返しをしたって認識してる


ジーンが自殺して、自分のせいだって泣いてるオッペンハイマーに対してキティが「罪を犯しておいて、その結果に同情させようとするな」ってセリフがずっと忘れられない
ジーンだけじゃなくて原爆を発明して、投下の成功に喜んでおいて、その後良心の呵責に苛まれるのだってそう、人間って矛盾してるよね
でもきっとオッペンハイマーが作ってなかったら他の人が作ってただろうっていうのも間違いない
実際オッペンハイマーは水爆について反対したけど、他の人たちによって発明されてるし

原爆がどれだけむごいものかを学んでるから爆破が成功したシーンはもちろん絶望とか恐怖を感じたんだけど、それと同時に少しだけ「実験に成功した」ということに対して安堵した自分もいて怖くなった
でもオッペンハイマー目線で観てたらきっとみんなそうだと思う

みんな「戦争は悪い」「人を殺すのは悪い」「人を殺す兵器も悪い」なんて分かってるんだよ
オッペンハイマーも「恐ろしい原爆の被害を目にしたら世界はもう2度と原爆やそれに値する兵器には手を出さないだろう」なんて言ってるけど、絶対そんなことないって心の奥底では分かってるよね
でも物理学に取り憑かれた科学者であり、ヒトラーという絶対悪への抑止力、祖国の勝利への貢献、莫大な予算と時間をかけた計画のリーダー、民間人が大量に死んだとしても戦争を止めるため、みたいな様々なプレッシャーの中でどんどん八方塞がりになったんだと思う
少しの好奇心や野心をきっかけに個人の判断や行動だけじゃどうにもならないところまで突き進み続けてしまった結果、広島と長崎が大きな被害を受けたんだよね
被害が大きいことも、人がたくさん死ぬことも想定していたけど、こんなはずじゃなかったって思っただろうな
想像力には限界があるから

オッペンハイマーがプロメテウス的な立場の1人になったのは間違いないんだけど、人類はそこから何十年もずっとその暴走列車に乗り続けたまま現代まで止まれていない、それどころかどんどん加速して自滅していってると昨今のニュースを見ていて思う

まさにオッペンハイマーとアインシュタインが話してた「核爆発の連鎖反応が始まってしまったのかもしれない」ってセリフが全てを表してる
本当に鳥肌が立った
最初にオッペンハイマーがアインシュタインに核爆発の連鎖反応の可能性について相談した時、その可能性があるならそれをナチスに共有すべきだって言ってたし、オッペンハイマーよりも先に、発明とそれに付随する苦悩を知ってたんだろうな
アインシュタインについてももっと知りたくなった

原爆を発明しなくても叩かれ、発明しても後に叩かれ、国にいいように使われた感は否めない
原子爆弾の発明は絶対に肯定できることではないけど、オッペンハイマーとか、誰か1人だけが悪いということでもないからね、、、

最近何観ても人間は愚かだなって思考停止してしまう
人それぞれ違った正義を持っているから複雑だし、いろんな背景が絡み合ってるから難しい
でもクリストファー・ノーランという世界的に注目度の高い監督が、莫大な予算をかけて原爆の父を題材にした映画を作ったことはとても意義があると思う
まじで強烈な作品だった
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