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オッペンハイマーのdeborahharryのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.0
note-director, actor,and sound
諸事情により、人生最長の3ヶ月も映画見られない日々が続き、やっと観れた。

ヒース・レジャーの一件と、観客にマウントとる作風が大嫌いなノーラン監督、にしては、おもしろかった。こんなわかりやくしちゃってノーラン監督ファンは拍子抜けしているのではないか。

俳優陣は、キリアン・マーフィーを完全に食っちゃってるロバート・ダウニーjrが最高だったが、ここぞとばかりイヤな役爆裂のゲイリー・オールドマン大統領、笑えてしまった。

ジョシュ・ハーネット、マット・デイモン、ラミ・マレック、フローレンス・ピュー、演技合戦でみんな負けず嫌いというか。

クロスカッティングよりも、3〜5人ぐらいのカットバックの割り方がすごいなと思った。しかしカット割り早くて激しすぎる。
ってか、ロングの画がほとんどなく、ずっと人物の会話でもたせるのはなかなかキビシイが、そこは俳優陣の演技合戦が、効いているのでもつ。

そもそも、構図の美しさや景色などの「暖」な映像美には無縁の監督だが、無機質な「冷」な映像美は編集が凝っていて、効果抜群だった。
インサートでやたら入ってくる、キラキラ、チカチカ、水滴、不穏なスモークなどのcg、あれがなかったら主人公の不安や恐怖感は半減するが、なくても表現できる監督はたくさんいらっしゃるので、そればっかに頼ってはいかんと思った。

一番良かったのは、日本の原爆の悲惨なの資料映像を1カットも使っていなかったこと。
(仕事で山のように見てますが)この映画は、そういう日本の被害を見せる映画ではないので、資料映像入れると話がずれてくる。
講演会で黒焦げの赤ちゃん蹴っちゃった妄想や、幻想で充分。
主人公が自責の念でぼろぼろになってるのは演技で充分。
白トビだけでつらかった。

音、爆音すぎて、音効さんはご満悦だろうが、やりすぎっぽい。
実験で成功した瞬間はノンモンになったのは予想通り。

映像業としては、ドキュメンタリー以外の日映画の本の惨事の描写は「これは映画なんだから、演技なんだから」冷静に見る方なのに、実験で成功して盛り上がってるシーンと、どこに落とすかの相談シーンは、さすがにムカついてきて、自分の日本人としてのアイデンティティを発見し、びっくりした。

追記:数年前、あの実験に関わったアメリカ人の人たちのその後を追ったドキュメンタリーを見ましたが、案の定、みんな被爆して早くお亡くなりになっていたのを、隠蔽されていたみたいな話だった。続編、そっちも撮ったら?
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