それいゆ

オッペンハイマーのそれいゆのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.5
物語:2.5/3.0
音響、楽曲:1.0/1.0
キャスト:1.0/1.0

映画館で鑑賞。
素晴らしいものを見させてもらいました。

マンハッタン計画を指揮し、原爆の父と呼ばれたロバート・オッペンハイマーの半生を描いた180分の超大作。
マンハッタン計画を指揮し原爆を生み出したという肩書だけだと分からないけど、オッペンハイマーも女好きで当時のアメリカでご法度の共産主義に手を出したりと、擁護できない点もあるけど、やっぱり友人も多くて憎めない存在、そして物理学の天才として、原爆開発の命に葛藤しながらも真っ直ぐ取り組んだという彼の人間性がひしひしと伝わった。(その人間性が後の赤狩りの審判に影響する訳で…)
何より核の恐ろしさ、引いては当時のアメリカの異常性が克明に描かれていると感じる、まるでホラー映画を見ているかのような感覚になった。
監督は核について賛成か反対かは示していないけど、映画を見れば伝えているようにも感じる。
日本人が忘れてはいけない広島や長崎は口頭での表現として出てきただけだったが、それを見なくとも世界の人々は核の爆発に恐怖感を抱くのではないだろうか。(被害を見なくても良いと言っているわけではない)
ただ内容は相当難しいと感じる、前提知識無しで生半可な気持ちで行くと痛い目を見ると思う。それでも核実験のシーンは日本人引いては世界の人々に見てほしいが。

音響に関して
足音や爆発音、果てには無音を使いこなして、物語の表現をさらに際立たせている。
良い音響の映画館でみたら尚更、その感じ方はより一層深まると思う。すごい。

キャストに関して、私はハリウッド俳優についてはロバート・ダウニーJrぐらいしか知らないド素人だが、皆さん力を込めて演技をしていると伝わって良かった。
特に映画の殆どを出演する主演のキリアン・マーフィーの演技には敬服する。

核で脅し合う世界が始まった、当時の関係者が少なくなる(というかもういなくなった?)中でこの映画はとても意義のあるものだと考える。
やはりアカデミー賞七冠の作品は違う。
クリストファー・ノーラン監督の集大成の作品を、唯一被爆国の日本人としてこの作品を映画館で見れたことを誇りに思う。
それいゆ

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