このレビューはネタバレを含みます
ジョシュ・ハートネットをエンドクレジットでみて、え!となった。
不覚やー。
いやー…難解!
難解に次ぐ難解トーク。もはや脳が理解することを放棄していた感じ。
歴史、政治、物理学、数学…私の苦手なもののオンパレード、そりゃそうだ。
にしてもノーラン監督流石だなと思った。
流れるような編集に統一感のある不穏感が相まってずっと居心地が悪かった。
そしてお涙頂戴に決してしない表現方法がよかった。
でもやはり日本の名前が出てきてからはイラつきを隠せなかった。遺伝子レベルで原爆は悪と認識してるから。これは日本人としては別にみなくてもいい作品かもしれないと思っちゃう。
なかなか切り離して考えるのは難しい人たちもたくさんいると思う。
はじめと終わりが見事で。
はじめ
オッペンハイマーがアインシュタインと会うところ。水面に広がるいくつもの水輪を見つめるオッペンハイマー。
終わり
美しい地球が爆弾に包まれていく様子。
…
小さな水輪にすぎない科学者の発明一つ一つが、いつか生命すべてを奪う結末になるかもしれない未来をみた気がした。
監督は静かに反戦を、最後に少しだけメッセージを乗せた気がした。
自分には何ができるのだろう。
答えは無だ。
人間の愚かさを感じて、自分の無能さを感じて
家に着く頃にはもうぐったり疲れてしまっていた。
あれだけ人の命を奪うものをなぜいくつもの国が保有しているのだろう。
戦争により得るものがあるという人もいる。エビデンスに基づくことなのだろう、経済や化学の進歩にはそういう負も仕方のないことなのかもしれない。
でも…
でもやはり私は嫌だ。
何も生み出さなくてもいいから平和であって欲しい。誰も死んでほしくない。
しかしどんなに願っても叶うことはない。行動したとしてもそんな想いは儚く、結局無意味だ。
いずれ愚かな害虫である人間たちは己の犯した罪で滅びていくのだろう。
いつまでも続く暗い気持ちを抱かせる、
でもとてもよくできた、
偏差値高めの、
そんな映画だった。