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オペレーション・フォーチュンのnetfilmsのレビュー・感想・評価

3.7
 『007』からも『ミッション:インポッシブル』からもお呼びが掛かりそうで一切、お呼びの掛からないガイ・リッチーがそれなら勝手にやってやんよ的な作品に、勝手知ったるジェイソン・ステイサムともう何度目かというタッグの息の合った作品ではある。英国諜報局MI6御用達の敏腕エージェント、オーソン・フォーチュン(ジェイソン・ステイサム)は、新たなミッションを指示される。それは、100億ドルで闇取引されるとてつもなくヤバいブツ=ハンドルを追跡・回収すること。そもそもこの「ハンドル」が眉唾物のマクガフィンで、オーソン一行の他にマイクご一行という対抗馬をつけ、まるで『殺しの烙印』のようなスパイ同士がトンぱちを繰り返す。いつものガイ・リッチーのようにオーソンご一行はMI6のコーディネーター・ネイサン(ケイリー・エルウィズ)や、毒舌の天才ハッカー・サラ(オーブリー・プラザ)、新米スナイパーのJJ(バグジー・マローン)というクセ強な即席チームを率いて行動を開始する。なのだがいつもアクション以外は難アリのガイ・リッチーのドラマ・パートの台詞回しがいつも以上に滑っていてあまり感心しない。いかにもクエンティン・タランティーノがやりそうな冗長な雰囲気を本気で冗長にやってしまう辺りが、ガイ・リッチーに、いつもの悪癖が散見する。

 加えて今作の狂言回し的な役柄を演じる「世界のヒュー様」ことヒュー・グラントがタランティーノ映画におけるディカプリオばりの気狂いじみた役柄を嬉々として演じるのだから参った。90年代は世界の王子様だったヒュー・グラントもすっかり歳をとり、ヒール俳優に活路を見出すのはわかるのだが流石に痛々しいことこの上ない。グレッグ・シモンズ(ヒュー・グラント)と能天気なハリウッド・スターであるダニー・フランチェスコ(ジョシュ・ハートネット)の共演場面はタランティーノ映画におけるディカプリオとブラピの共演場面とほとんど同様で参ってしまう。まぁなんと言うか鼻っ柱の強いサラそのものがオーソン・フォーチュンを冷笑し続け、すっかり自己肯定感の下がったジェイソン・ステイサムの姿には苦笑せざるを得ない。ロンドン〜マドリッド〜カンヌ〜モロッコ〜トルコ〜ドーハ〜ロサンゼルスという世界7カ国を舞台にした割には旅情性も希薄で、アクション・シーンもジェイソン・ステイサムの所作もこれといって特筆すべき場面がほとんどない。というか良い人ジェイソン・ステイサムは今作では進んでチームメイトに見せ場を渡して行く。余談だがなぜ敵施設の監視カメラ映像が俯瞰で見られるのかも謎で、今作もいつものUSB接続〜ゲージが100%になるまでの弛み切った凡庸な映像を我々は地雷映画でいったい何度見せられるのか。
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