わっせ

とら男のわっせのネタバレレビュー・内容・結末

とら男(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

水の映画だ、と感じた。

印象に残る水のあるカットを列挙する。
ファーストシーンのプール。とら男さんの洗顔、無頼飯のバックで蛇口から落ちる水。女子大生が足を取られたぬかるみ。おでん。様々な場所に出てくる水たまり。雨。最後の取り壊されたプール。特に水たまりとプールは反射を利用していて、画面構成に役立てている。
しかし、水の映画として見たとき、その水が物語にどういう作用があるのか、読み取ることができなかった。そもそも水の映画として見ることが間違いであったのだろうか。蛇口からしたたる水が多すぎて、そういう印象を受けてしまったのだが。

また、最後の犯人の犯行とそれを順番通りに辿っていく演出において、登場する車が、30年前?に存在するのかという疑問が先に立って、演出にすっと入り込むことができなかった。少なくとも、あのオレンジ色の車を使うよりは、とら男さんのセダンタイプの車を使ったほうが良かった。とら男さんの車は別に用意して。

そして、プールのコーチにしては、なんだか泳ぎがぎこちなくて残念。溺れてるのか?とも感じてしまう泳ぎはもうちょっと頑張ってほしかった。

女子大生の造形と行動、心理には、徹頭徹尾共感できなかったが、それはそういう演出意図だったと思うしかない。

しかし、である。最後の犯人と対峙したとら男さんの眼光は、そのような不満点を些末なものとして置き去りにしてしまう強さがあった。あれが見られただけで満足だ。
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