さんしち

ミューズは溺れないのさんしちのレビュー・感想・評価

ミューズは溺れない(2021年製作の映画)
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 人と関わる、触れ合うことの怖さ。誰かを好きになるという気持ち。創作にぶつける想い。思春期の少女たちを主軸に描かれる題材は普遍的であり、共感できる部分が多かったです。あまりこういう語り口で感想を言うのも良くないかもしれませんが、非商業作品だからこそ撮れるテーマという気がして見応えがありました(個人的に、普段こうした映画祭にかけるようなフィルムを見る機会が少ないので)。
 映像面では、汗の匂いまで伝わってくるような夏の空気を持ったフィルムの質感、そして創作のシーンにかかる個性的な音楽が強く印象に残りました。特に音楽については、劇中の音から始まったものがそのまま劇伴的に使われる発想に良い意味で面食らってしまい、一気に引き込まれたところがあります。そうして作られた造形品や登場する絵画も含め、出来上がった美術品が実際に魅力的なビジュアルに仕上がっていることも映画の印象に貢献していると感じます。
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