ヒノモト

シーフォーミーのヒノモトのネタバレレビュー・内容・結末

シーフォーミー(2021年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

日系カナダ人のランドール・オキタ監督による、いわゆる「ホーム・アローン」的な侵入者撃退映画。

今作で最も良かったのは、もちろん視覚障害のある俳優が感覚的なリアルを感じさせる演技ではありますが、もう一つとして、ハンディキャップを抱えた人に対して、自立できないとか清廉潔白であるという固定観念を覆す設定が、物語に大きな影響を及ぼしていることです。

ここから先ネタバレを含む感想になります。

物語はペットシッターのアルバイトで豪邸で過ごすことになった盲目のソフィが視覚障がい者であることを利用し、金目の物の盗み出そうとしていたところに、武装強盗が屋敷内に侵入する。命の危険を感じたソフィは、視覚障がい者サポートアプリ《シーフォーミー》を起動し、カメラの向こうのヘルパーとともに対処していくお話。

この設定、自身の障がいを逆手にとって、自らも犯罪の経歴があることが物語の終盤まで影響していて、障がい者の性善説の概念の否定であり、正義VS悪のような単純構造になっていないところが、今作を単なるサスペンス映画にしていない要因になっていて、大変見応えがありました。

あとは、アプリ《シーフォーミー》のアイデアに尽きると思います。
カメラを通した映像がヘルプしてくれる人と共有でき、対象者の目となって、指示を送っていくのは、

後半では、ヘルパーの元軍人の経験を生かし、FPS(ファーストパーソンシューティング)のようにカメラ越しの視点で強盗を狙い撃ちする指示をしていくシーンが緊張感があって、大変良かったです。

ただ、ある理由でアプリが使えなくなった場面で、そのまま対処できてしまうのは、いかにもフィクションっぽいと感じてしまうところでしたが、それで充分に楽しめるところではありました。

映画を抜きにしても、こういうアプリが実在すれば相互の関係、お互いの手助けする、される気持ちのハードルが下がると思いますし、ラストに示されたサポートの役割の先あるものも良かったと思います。

今作の監督は映画の前にVRゲーム作品を制作していて、その空間認識感覚が今作でも生かされていると思いました。
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