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BLUE GIANTのaiueoのレビュー・感想・評価

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
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こんなに作者の存在に意識が向き腹が立つ話も珍しい。
2時間に圧縮しているので、当然のことながらキャラクターの描きこみは不十分で、その分ウェットさに話が流れるのは仕方がない。
とはいえ、原作の、ピアノの雪祈がバイト代のすべてをつぎ込んで大量のライブを見に行き頭の中でセッションしていることを知って大が組もうと誘うシーンがないのは残念な気がした。
あそこはそれまで傲慢で計算高く嫌なやつにみえる雪祈がすさまじい努力家で、かつサックスの大がそれを上回るような傲慢さをもっていることを同時に示すシーンで、そのことが作品全体に、バンドやろうぜ的な雰囲気とは別のややドライな感覚を与えていたと思う。
原作におけるサックスの大の超人的な力、世界的大スターになってそれを振り返っているという形式をとることも相まって、水戸黄門の印籠シーンがひたすら続き読者にフラストレーションを一切与えないあの作劇は、アニメーションのパワーによって(もちろん豪華演奏陣も)達成されている。

実写版BECKの圧倒的無策ぶりが懐かしい。
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