TAK44マグナム

テラー トレインのTAK44マグナムのネタバレレビュー・内容・結末

テラー トレイン(2008年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

彼氏との練習の成果です!


ソーラ・バーチ主演のスプラッターホラー。
列車内で変態コスプレ野郎が暴れまわる80年代スラッシャーの雄「テラートレイン」のリメイクとのことですが、列車が舞台というだけが同じで中身は全く違います。

東欧リトアニアに遠征でやってきたインディアナ大レスリング部。
一部の選手が真夜中のパーティに出掛け、翌朝の列車に乗り遅れてしまいます。途方に暮れていたら、「オデッサ行きの列車ならありますよ」と親切な女性が教えてくれたので、さっそく乗車しちゃいます。
しかし、ここは東欧!
親切には裏がある(←完全に「ホステル」の見過ぎ。偏見です)!
ひとり、またひとりと消えてゆく部員たち。
コーチも行方不明になってしまいます。
恋人のトッドが半裸で出て行ったまま戻ってこないので流石におかしいと思ったアレックス(ソーラ・バーチ)は、怪しい車掌の制止もきかずに列車内を探し始めます。
いかにも異質な雰囲気の最後尾に辿り着いたアレックスは、そこで世にも恐ろしい事態が自分たちに降りかかっているのを知るのでした。
地獄行きの列車から、はたしてアレックスは生還できるのでしょうか!?


うむ、これは立派な「ホステル」のフォロワーですね。
イーライ・ロスも苦笑いしそう。
秘密組織が旅行者を殺しまくります。怖いですね~、おバカな旅行者はただの「商品」でしかないのです。
これが実際に起きた事件を下敷きにしているってんだから、やっぱり東欧って恐ろしいところなんでしょうか・・・。

冒頭、いきなり人体解剖が始まり、気合充分!
全身の皮が剥がされたりして、どこの「マーターズ」?って感じですが、とにかくこれから人体破壊上等なホラー映画が始まりますよ~というオープニングには期待できました。
殺人列車に乗ってからは結構な勢いで部員たちが捕まり、あっという間に目ん玉やら心臓やら、何故かチ○コまでパッパッと手際よく抜き取られちゃいます。
乗務員たち全員がグルなのは分かるのですが、その目的は一体何なのか?
「ホステル」の場合は金持ち連中に拷問殺人をさせてあげる組織が出てきましたが、この連中はちょっと違うみたい。
部員たちを騙して列車に乗せた女性は、どうやら女医さんの様です。
列車には乗客もたくさんおりますが、彼らは事情を知ってか知らずか、いまいち良く分かりません。
まあ、ただ単に殺人を行っているわけではなく、目的をもって心臓をえぐり出したりしているので、「ああ、なるほど」と理解するのは容易いですけれど、いくらなんでもガタゴトと動く列車内で、ろくな設備もないのにこれは無理だろう~と誰もが思うはず(苦笑)。
汚そうなオヤジが無造作に素手で抜き取った内臓なんて、ふつう使えないでしょう。ばっちいよ、マジで!
しかも、「準備して」と呼び出された乗客が、次の日には背中に大きな手術痕があるのにシャワー浴びている(←唯一のセクシーカット)という無茶ぶりに仰天!
あの女医はブラックジャックか、はたまたスーパードクターKか!?

必要な部分だけを取られて肉塊と化したコーチやトッドの姿は諸行無常。
こんなにされちゃ、そりゃ「殺してくれ~」と懇願しても仕方なし。
で、恋人や友人をグチャグチヤにされたアレックスがブチ切れて反撃を開始しちゃいます!
トッドに教えてもらった技が炸裂するラストは、恋人の技で仇を討つという泣かせどころのはずがイマイチ盛り上がらず。
ゴアゴアな雰囲気の前半と比べて、後半は展開がまったりとして何となく失速気味なんですよね。
せっかくソーラ・バーチが復讐鬼になったってのに、そこからのブーストが足りない。
そもそも、この映画、妙にグダグダになる瞬間が何か所かあるのが気になります。たとえば、トンネルに入って真っ暗になり、敵がいるのかいないのかも見えなくなるシーン。緊張感があるようで、まるで伝わらないトロい演出だなあ・・・と思っていると、トンネル抜けた途端に、どうしてだかコーチ助手のウィルが既に倒されている。
グダグダだよ(苦笑)!

というか、中盤までに肝心の人体破壊を殆ど見せてしまって、後半は要らん謎解きやアクションシーンに尺をとりすぎ。
こればかりは前半にエロ、後半にグロと、思い切り分かりやすい構成になっている「ホステル」に軍配があがりますね。
だいたい、本作はエロ要素も足りない。
入浴や襲われるシーンがあるのに、ソーラ・バーチの露出が低めって、これがどういう系統の客が観にくる映画なのか、さっぱり分かっていないんじゃないかと猛烈に抗議したい気分であります!
舞台も列車内だけで良かったのに、無駄に外界にシフトしたのも個人的には失敗だったんじゃないかと。
せっかくのスピード感が途切れてしまっているし、変に全貌をみせてしまうことで秘密組織が陳腐な存在に感じてしまいました。
あの女医とか車掌がボス格?
うーむ、ちょいとスケールが小さくはないか。

無造作にガバッ!と胸部を切開したりするのは気色悪くて良かったので、そういうゴアなドライヴ感なまま最後まで突っ走って貰いたかったです。
ただ、覚醒したアレックスの容赦のなさは拍手モノ。
解剖オヤジの最期もイイ感じ。
しかし、てっきりそこでエンドロールかと思いきや、この後アメリカへ無事に帰れたんですね~。
レスリングを頑張って、ついに霊長類最強女子になったアレックスが金持ち連中をゴミのように千切っては投げ、千切っては投げる続編を気長にお待ち申し上げます。


セルDVDにて