竜平

僕を育ててくれたテンダー・バーの竜平のレビュー・感想・評価

3.8
作家を夢見ることになる少年と、その父親代わり及び師のような存在となる伯父。二人の交流を軸に若者の成長や人生を描いていく。

J.R.モーリンガーのベストセラー自叙伝の映画化とのこと。つまりは少年時代から描かれる今作の主人公こそが原作者J.R.自身。ちなみに監督を務めてるのがあのジョージ・クルーニー。両親の問題から母と共に実家へと引っ越してくるJ.R.少年。そこで祖父母と暮らしているのが地元でバーを営んでいる伯父、やがて少年に大人や男の何たるか、そして人生の歩み方などを教えてくれる人物、演じるのはベン・アフレック。家庭が裕福というわけでもなければ、めちゃくちゃ才能に溢れてるというわけでもない、なんというか一般人的な目線で語られていくストーリーが非常に良き。で主人公がいろいろ経験していく中で、子供にとって両親の存在というのはいつ何時も大きいものなんだなと感じざるを得なかったりして。今作で言えばほとんど会ってもいない所謂ダメ親父、そこにある確執がちょっとした孤独感とか胸の突っかかりとなっていて、じつは人生にも影響しているんだよなと。打ちひしがれたり立ち止まったりした時の、自分にとっての「師」の存在って本当にでかいよなって思う。自由人ではあるけど尊敬に値する伯父に、夢を追うことの素晴らしさなど主人公と一緒になって教わるはず。

ちなみに成長したJ.R.青年を演じてるのがタイ・シェリダンで、祖父役がクリストファー・ロイド、それぞれ好演。自叙伝ということだけど全然知らない人の人生だとしてもなんだかすんなりと入ってきて、尚且つ楽しんで見ていられる内容。同じ系統だとケネス・ブラナーの『ベルファスト』とかスピルバーグの『フェイブルマンズ』とかも思い出す、ってのはこっちの話ね。例えば自分の人生とも照らし合わせてみたりして、最終的にはじんわりと心が温まる、そんな一本。
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