「負の感情が蓄積していくリアルなレストランの裏側を90分ワンカットで見せる!」
これはなかなか見応えありました。
観に行った劇場では連続して満席なので人気もあるようです。
15年のレスラン勤務やシェフの経験のある監督が今まで身の回りに起きてきた飲食店のリアルな裏側を詰め込んだストーリー。タイトルのボイリングポイント=沸点が示すように負の感情の蓄積がじわじわ溜まっていく様子がワンカットという撮影手法とマッチしていて緊張感も含め共有され、リアルタイムに体感できた。
ワンカット(風)ではなくリアルにワンカットのノー編集、ノーCGというのが凄い。ただ決して撮影技法の凄さを見せるための作品にはしないと監督も思っていたようですが、あくまでシェフ、飲食店という仕事が始まると目まぐるしくノンストップな忙しなさを表現するに最適で作品のテイストとマッチした手法になってました。
高級レストランと聞くと低価格のお店と違いお客からしても裏側まで含めてきっちりと管理された状況を想像してましたがきっと現実は全てとは言わないがこういったお店のように裏側では色んなお店を抱えてるのかもしれないと思ってしまいました。とりあえず飲酒業界では働きたくないとは思えるリアルな描きっぷりでした笑
あるレストランの日常をノンカットで描くだけで地味になりすぎないかなという不安もありましたが、その点は今までの監督の経験から落とし込まれた様々な現実にもあった問題達(人種差別、パワハラ、労働環境、SNS、批評文化)が圧縮して詰め込まれてるので飽きずに楽しめました。
リアルな労働環境や職場における不満などの負の感情の蓄積、、そして爆発という点では飲食に限らずどんな職場でも起こりうる普遍的な問題でもあるなと感じました。非常に共感性の高い負の連鎖を見せてもらえました。お見事。
ワンカットではあるもののセリフなどはキッチリと決めておらず、役者達のアドリブにも任せた部分もあったという演出の仕方も興味深かった。
社会風刺もありつつエンタメ性もある1本に仕上がってます!