してぃぼ

ボイリング・ポイント/沸騰のしてぃぼのレビュー・感想・評価

3.4
94分ワンカット撮影の作品。ロンドンの人気レストランでトラブルが絶え間なく起き続ける。客も従業員も経営者も最悪すぎる。絶対に行きたくないレストラン。

物語は開店前の時間からスタート。衛生当局が急遽監査に入る。冷蔵庫の温度が最適ではない、調理用の洗い場で手を洗っている…等指摘が入るが最終的には書類の不備が大きく作用し、評価が星5から3に落ちてしまう。オーナーシェフのアンディは自身の不備を一旦棚に上げて厨房スタッフのミスを指摘する。この時点でかなり暗雲が立ち込める。

そしていよいよ開店。だがこの時間になってもまだ仕込みが終わっておらず、更に洗い物も終わっていない…という日本では余り有り得ない光景が続いていく。イギリスでは割と当たり前なのか?客を待たせてまで従業員一同で自撮りを撮る感覚は少し見習いたい。

開店後も早速トラブルだらけ。そんなに仕事ができないのに駄弁ってワインを提供しないホールスタッフ、黒人を毛嫌いしてネチネチ叱る初老の客、メニュー表にないメニューを注文しようとするインフルエンサー、かつての同僚でアンディを半ば脅す有名シェフ、2時間遅刻した上にバックヤードで薬物を吸う洗い場のスタッフ、腕前は一流だが性格に難のある厨房のエース、立て込んでる時に塞ぎ込んで弱音を吐く共同責任者のホールチーフ…

ツッコミどころは多々あるが、よくもここまで事件を作れるなと感心。そしていよいよ最も取り返しのつかない事態が起きる。ナッツアレルギーの女性客が発作を起こしてしまったのだ。なんとアンディが厨房スタッフに代わりに入れるよう指示したドレッシングの中にナッツの成分が入っていたとのこと。

人間生きてたら何にも上手くいかない日もあるよね。一線を越えた過ちを犯してしまったアンディは遂にボイリング・ポイントに到達し、営業時間中に薬物を吸い過ぎてぶっ倒れる。

一度転がり出したら止まらない予想外の出来事をそのまま映像化しているのでワンカットという作風が合うし、伏線のようで伏線にならなかった展開もあって、そこがまたリアルというか。

身から出た錆もあるけどなんだか責めきれない。準備は前もって計画的に。自分も肝に銘じたいと思います。

やることなすこと上手くいかなくて落ち込んでる時に観たら勇気づけられるかもしれない1本。
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