ワンカットで撮られたレストランの騒動。かなり工夫して撮影されているのはわかるし、リハーサルは相当大変だったんだろうなとも思う。何か取り返しのつかないことが起こりそうな不穏な雰囲気がすごいので、飽きずに最後まであっという間に見ることができ、決してつまらなくはない。
ただ、面白くもないなぁというのが正直な感想。脚本の練りが甘い気がする。前述の不穏な空気を出すためにそこかしこにトラブルになりそうな種をバラ撒いていくのだが、なんだかあまりきちんと回収されないまま終わってしまう。とにかく登場人物がめちゃくちゃ多いのだが、彼らは空気感を出すのに一役買ってはいるものの、キャラクターとしてはそのシーン限りであまり活きてこない。ゲイのバーテンダーとかリストカット跡だらけの見習いとか、とにかく出すだけ出しっぱなし。
あと彼らも含めスタッフのレベルが驚くほど低く、とても人気高級レストランだとは思えない。遅刻するわミスするわサボるわ揉めるわ喚くわ泣くわ、話の都合上トラブルを起こすためにはこうするしかないのだろうが、やはりあまりにスタッフが低レベルで不自然。まともに繁盛するわけないだろこんなレストラン。そのトラブルというのも、基本的には延々とあちこちで揉めているだけなんだよなぁ。
めちゃくちゃ忙しい！という前提のはずなのに、そこかしこでスタッフがサボったり私語をしているため、その緊迫感すら薄れてきてしまう残念さ。ワンカットであることでかろうじて緊迫感をキープすることができていたが、かなり厳しい。
かなり面白くなりそうな雰囲気がありながら、そのまま終わってしまいガッカリした。
