エス

ウーマン・トーキング 私たちの選択のエスのレビュー・感想・評価

4.7
祈りと信仰でコミュニティが成り立ってきた村で、尊厳と自由、主体性、沢山のものが男性に静かに奪われてきた女性達。そんな社会から脱却すべく、それぞれが経験を持ち、それぞれの立場から出される意見はどれも違っていながらも、話し合い、価値観を擦り合わせ、連帯して同じ目的に向かって答えを導き出してゆくお話。二度と自分たちと同じ被害者を出すまいと。

そして、問われる”赦し”の概念。

タイトルの通り、話し合いで物語が進んでいくので、言葉の重みが尋常じゃなかったです。豪華演者陣みんなパワフルで、そうでないと生きてけない環境なんだっていうのがずっしりとのしかかってきました。これがボリビアのメノナイトという宗教のコロニーで実際に起きた性暴力事件を元にしているのも辛い。たった3歳でさえ被害者になってしまっている。それらの助けを求める声は、“悪魔の仕業だ”だとか“女の妄想だ”といった周囲の発言で抑え込まれていたんだとか。

沢山記事を読ませて頂いたんだけど、”教育体制が整っていないからこそ助けを乞う方法も分からない、何が起きてるのかも言葉にすることが出来ない”という文章にはゾッとしました。残酷すぎるにも程がある。

”泣きたい時に激しく笑う”や”女性は考えを必要とされないからみんな空想家になる”といったセリフも脳裏に焼き付いているし、今作で出てくるセリフが殆ど共感せざるを得なかったです。この性別で生まれてきてしまった故に向き合わなければならない現実に立ち向かう為の、自分たちが持つべき三つの権利。

スコアが超いいなって思ってたらジョーカー等でお馴染みのヒドゥル・グドナドッティルでした。

そして、”逃げる”と”去る”の違いは自分の信念とどう関係してるかなんだなと考えたり。

”愛の欠如、愛の終わり、愛の必要性
どうしてそれが暴力に繋がってしまうのか”
エス

エス