紅殻

マリー・ミーの紅殻のネタバレレビュー・内容・結末

マリー・ミー(2022年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

最初からクライマックスなラブストーリー。
だからデートするまで何回も探り合ったり、告白してから付き合い始めるようなやり方じゃなくて、会ったその日にキスして相手をよく知っていくのはそれからっていうのが現実的!

ストーリーのピースとなる素晴らしい歌については、映画鑑賞よりずっと前から聴いていてお気に入りでした。
J.Loだからこそこの完璧なラブストーリーが成立してるって、歌を聴くとやっぱりそう思う。
現実の彼女のキャリアは演技から始まって、歌手活動は彼女の希望で途中からスタートしているんだけど、これだけ華々しく歌も芝居もできるバイタリティには脱帽するし、自身のパブリックイメージをこの映画の演出にうまく取り入れていることも評価したい。
(ツアーの際のホテルは白い薔薇でいっぱいに飾るとか、付き人は50人連れているとか、それで彼女50歳であの美貌を維持して、ああすべてのゴシップがもはやこの映画の叩き台としてぴったりはまっていることの!すごさ!)

私たちがスターに見る幻影を逆手に取った“あちら側”からの、インスタLIVEの配信者側からの景色がリアルに再現され、熱病に浮かされる視聴者の良くも悪くも数の力の放つプレッシャーが読み取れました。
ここで、Marry Me!と群衆の中から見つけられてしまった数学教師にしてシングルファーザーの“新郎”は、SNSには否定的で冷静。
問題に集中することで必ず解決できる…と日頃から学校の数学クラブでも生徒に対し説いており、そのシンプルな信条が、自己の拡散がマネタイズされる主人公キャットの生き方の中に、今までとは違うものを選択するきっかけを与える。

まったく違う二人が衝撃的な出会いで結ばれる王道ラブストーリーだけど、ありがちな“最初は犬猿の仲だった”も“感情的に裏切り合う”こともなく、二人のペースで関係が構築されていく様子が描かれていて安心して観ることができました。
もしかして本当の恋かも?と思わせるシーンの散りばめ方と煮詰め方がうまい!
また、キャットの周囲の人物、特にマネージャーが愛を持ってキャットに接していることや、生徒たちが出てくるシーンでも思いやりや尊重が端々に描かれており、これも良かったと思います。
ステージシーンもゴージャスでときめきっぱなしなので、ゆっくり休んでキラキラしたものを摂取したいときにうってつけの一本。
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