紅殻

最強殺し屋伝説国岡 完全版の紅殻のレビュー・感想・評価

4.0
また凄い映画が出てきたなと思う。
殺し屋ドキュメンタリー風(モキュメンタリー)ムービーで、リアルな演出が続いてからヒョイっと虚構バリバリの展開を持ってくる感じ、どんな気持ちで観ればいいの?と思いっきり翻弄されました。
チリチリと痛い感じではないけど、そこそこ血糊が炸裂するのとステゴロがわりとリアルで息止めちゃう。(このくらいの、ゴアまで行かない描写ならイケるという方も少なくないかと思うので、参考まで)


阪元監督のアクションは嘘を思い切り膨らまして体幹のしっかりした役者さんがその嘘のトランポリンの上を跳ね回るような、独特のリアルさと軽妙さがあって好きですね。
少年マンガっぽいというか。終盤、殴り合いの見え方が完全に幽遊白書だったな…。

国岡のキャラクター性にリアリティがあるほか、個人的には殺丸がかわいく見えて(素直だし…)キャッキャしながら鑑賞。


ここからは真面目な話、現状このスタイルで殺し屋という題材で映像作品を成立させられる地域・文化って結構レアかもしれない。
中南米だとリアルすぎるし、EUも英米もそれぞれ本当にあることを前提にさまざまなフィクションが作られている訳で。
たとえば韓国の映画も、ノワールや本格的なアクションのレベルが高いけど、国の歴史や情勢は無関係ではなく、徴兵制度があり隣国と常に緊張した関係の社会だからこそそうした作品が多く出てきていると考えられる。

組織と契約し、フリーで受注した殺しの仕事を淡々とこなしていく国岡と周囲の人達とのつながり方や、あくまでも仕事であり殺し合いになった相手と心通ずる訳ではないというリアリズムがものすごく日本的と言えると思う。
べびわる、グリーンバレットも機会を作って鑑賞したいです。
紅殻

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