ベビーパウダー山崎さんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

ベビーパウダー山崎

ベビーパウダー山崎

皇家戦士(1986年製作の映画)

3.0

真田広之の日本人妻の名が「ユキコ」で娘の名が「ユキ」だった。この適当さ。派手なアクションの繋ぎでしかないベタなドラマ。妻と子どもは爆死、チャラいマイケルウォンは宙吊りからの落下死、クラブでの銃撃戦は名>>続きを読む

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

2.0

男性から虐待された女性のトラウマを男性の作り手が映画に利用しているだけ。「女性がその痛みとどう向き合うか」のシンプルな話を深刻ぶってシリアスなドラマに仕上げろとは別に言わんが、浅はかなイメージの羅列で>>続きを読む

ラヴ・アフェアズ(2020年製作の映画)

4.0

男と女がお互いの恋愛話を聞かせて、その過去の体験がひとつの物語として描かれ、それが直線としての構成ではなく、男の話が中断されれば次は女の話になり、また女の体験が物語として膨らんでいく。誰もが狡くてだら>>続きを読む

アントマン&ワスプ:クアントマニア(2023年製作の映画)

2.5

大ボスカーン対アベンジャーズに向けて無理やり異世界に放り込まれるアントマン。コメディ調に町のヒーローとして積み上げてきた設定をなし崩しにするほど行き詰まっているし迷走しているマーベルフェーズ5の開幕戦>>続きを読む

メシア・オブ・ザ・デッド/メサイア・オブ・デッド(1973年製作の映画)

3.0

その恐ろしい体験を俯瞰で捉える日記風のモノローグ。奇妙な世界に迷い込んでしまった幻想的というか悪夢的というか、どことなくジャン・ローランな雰囲気。ゾンビ映画とはあまり思えず、忘れられた貧しい場所で未知>>続きを読む

アントニオ・ダス・モルテス(1969年製作の映画)

3.5

中卒でパン工場勤務、年下の上司に詰られる絶望の日々を変えるには革命しかないと分かっていてもこの年になるとそこまでの気力も体力もなし。グラウベル・ローシャの文化映画で権力に抗い、暴力のみを信じて抑圧され>>続きを読む

神様のくれた赤ん坊(1979年製作の映画)

3.5

後ろめたい気持ちも前に進む未来もすべてが平等に描かれる、清濁併せ呑む感じがまさに前田陽一の人情喜劇。序盤と中盤に用いたセリフがラストに効いてくる。シナリオというより、その仕掛けのうまさだが、それで綺麗>>続きを読む

想い出のマルセイユ(1988年製作の映画)

3.0

今が旬のマチルダ・メイさんをお迎えしてのイヴ・モンタンオンステージって感じ。インターコンチネンタルホテルで里見浩太朗ディナーショーとしてリメイク可、ゲストは池田エライザ。80年代シンセポップを無理して>>続きを読む

バロウズ(1984年製作の映画)

3.0

家に帰ってぼんやり見ていたが、今さらバロウズの言葉に動かされることもないし、なんか半分ぐらい脳ミソ溶けてるのか、まあパフォーマンスなんだろうけど、ほとんどなにを語っているのかよく分からなかった。
どこ
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デュアル(2022年製作の映画)

3.5

前のめりになるとかわされ受け流され、暴力は過剰に痛みとリスクは等しく、自分のことしか考えていない人たちが共鳴ではなく共存していく社会、自分は誰なのか(存在証明)、黒い笑いから少しだけはみ出し、突き放し>>続きを読む

ノーウェア(1997年製作の映画)

4.0

90年代終わり、どん詰まりの若者群像劇。緩やかに漂う終末論、ドラッグにセックス、むだ話と変態とビデオアート。当然世界は終わらないが未来はなし、これからもなにもない。自殺したりふられたり宇宙人にさらわれ>>続きを読む

ゾンビ伝説(1988年製作の映画)

3.5

ルポルタージュ的な視点で構成していてこれもまた違うウェス・クレイヴン映画。未知なるドラッグでハイになり終わらない悪夢のようにトリップしまくるのは確かにクレイヴンの世界。終盤は革命の映画でもあって、語ら>>続きを読む

死の標的(1990年製作の映画)

3.0

スティーヴン・セガールのカンフーだが空手だが知らないが、その独特な人殺しの武術を用いて腕は平気で折るし両目は潰すし背骨も真っ二つ。刀を手にしてラスボスの首を切り落としても、ボスは双子で、更に同じような>>続きを読む

フレッチ/死体のいる迷路(2022年製作の映画)

3.0

グレッグ・モットーラって笑いで味付けしながら堅実なドラマを撮る人ってイメージだったけど、脱力系コメディへ流れてしまった。
探偵の真似事している(元)記者フレッチ、チェビー・チェイスの飄々とした感じはジ
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スクリュード/ドジドジ大作戦(2000年製作の映画)

2.5

バカ二人の計画性のない犯罪(誘拐)喜劇。時代的にタランティーノかコーエン兄弟かの二択で泥沼化していく展開含めてコメディの『ファーゴ』っぽい。ダニー・デヴィートが飛び道具みたいな役割で出演していて、その>>続きを読む

ジェシカ/超次元からの侵略(1984年製作の映画)

3.0

影の支配者(悪魔?)が有力者を会員制クラブに誘い出し、その街を欲望に忠実な非人間に入れ替えていく。これも大きく分けると『盗まれた街』の系譜、ボディスナッチもの。会員制のクラブに入会すると家族も他人のよ>>続きを読む

インキュバス・死霊の祝福(1981年製作の映画)

3.0

初期のウェス・クレイヴン。田舎村での殺人、カルト化しているアーミッシュがいかにも怪しく、それから二転三転する殺人鬼+悪魔系ホラー。プロデューサーの意向で渋々撮ったトンデモ世界が開いてしまうラストも俺は>>続きを読む

ビーナスの誘惑・美しき裸身の復讐(1969年製作の映画)

3.0

最後まで付き合った客をただ困惑させたいだけというか、思いつきのようなラストのオチが暴力的なまでに唐突でちょっと驚く。登場人物がマネキンのように配置されていてマリオ・バーヴァ後期っぽい香り、ロブ=グリエ>>続きを読む

アントラーズ(2021年製作の映画)

3.0

クリーチャーホラーを掲げながらも虐待とネグレクトのシリアスな問題、そこに田舎町の閉鎖的な世界とどうにもならない貧困がある。中心の人物に誰よりも重たい十字架を背負わせ、画面も物語もとにかく暗いのがスコッ>>続きを読む

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

2.5

遠く離れた先住民族の戦争(対立)に私たちはどれほど関心を持つことが出来るのかの踏み絵。アメリカ白人の勝利だけではなく世界各国の人種を引っ張り出して物語を紡ぐのは現代的なムーヴに便乗したネタ切れをぼやか>>続きを読む

ブラックライダー(1986年製作の映画)

3.5

荒唐無稽でありながらチームプレイでミッションを遂行していく。ビルの上と下から攻め入るクライマックス、要塞攻略。映画の象徴(マクガフィン)を多方面から奪い合う、ジョン・カーペンターのシナリオがまず良い。>>続きを読む

ガイバー(1991年製作の映画)

2.5

映画は0点。スクリーミング・マッド・ジョージが監督しているからなのかクリーチャーの造形だけやけに力が入っている。生体実験されたマーク・ハミルがカミキリムシの化け物に变化する気持ち悪さ、善人の成れの果て>>続きを読む

ボディ・スナッチャー/恐怖の街(1956年製作の映画)

3.5

物語がどうのこうのではなく、追手に捕まらないように、ありとあらゆる手法で「映画」をひたすら前へ前へと進めていく感じがいつもするドン・シーゲルFilm。ドン・シーゲル映画は常に急かされている。高速道路に>>続きを読む

パリ、夜の医者(2020年製作の映画)

2.0

闇の世界に片足突っ込んでるオッサンのありきたりな転落。アメリカインディーズ映画で腐るほどコスられているような展開とドキュメンタリーっぽく人物を追いかければリアルさに迫れると安直に考えている定番の手持ち>>続きを読む

SF・SEX/異星人のえじき(1975年製作の映画)

3.0

異星人が地球で脅威になると思われる人物をリナ・ロマイの身体(毒の膣)を利用して暗殺していく。いつも心配になるぐらい全開なリナ・ロマイが陰部を見せつけ、またジェス・フランコもサービスなのかこの陰部こそが>>続きを読む

修道女の悶え(1977年製作の映画)

3.0

古今東西エロスの定番「修道女」もの。死体が増えてその限られた場に亀裂が入り秩序が崩れていく。強くて激しい風が修道院に吹き込み、女は全身で鐘を鳴らし、手を真っ赤に染めた女は聖痕に悦ぶ。この「混乱」こそヴ>>続きを読む

東京の闇(1982年製作の映画)

2.5

アサイヤスってその時その時で心酔している他人の表現の影響を受けやすい。そのハマった誰かの表現も自分の体験の一つとして純粋に「映画」に取り入れてくるから尚更たちが悪い。すでに引用しかなく、そもそも映画に>>続きを読む

クイーン・オブ・ダイヤモンド(1991年製作の映画)

2.5

アメリカの寂れた郊外に生息する過去も未来もなにもない空っぽな人たち(その生活)をケージの外側からぼんやり眺めている感じ。怪我しない場所からの生態観察。廃刊前のスタジオボイスあたりで見たような画、雰囲気>>続きを読む

シエラネバダ(2016年製作の映画)

3.5

死んだ父を偲ぶために集合した家族親戚がうじゃうじゃと狭い団地の一室で揉めたり泣いたり陰謀論を話し合ったりで三時間。同じ家族だとしても思想や哲学は当然違っていて、それぞれが抱える苦悩を理解することはもう>>続きを読む

ユー・ピープル ~僕らはこんなに違うけど~(2023年製作の映画)

2.5

『招かれざる客』を現代的なラブコメにして。多様性の肯定を全面に、正しく生きていない者は悪であり積極的に排除していくNetflixオリジナル。人種問題、宗教の違いはあれど基本はみな人の痛みが理解できる善>>続きを読む

スタッツ:人生を好転させるツール(2022年製作の映画)

3.0

セレブ御用達のセラピスト、フィル・スタッツとジョナ・ヒルの対話。スタッツは弟をジョナ・ヒルは兄を亡くしている。その喪失をお互いで補完して精神科医と患者というより兄と弟のような関係でキャメラを回している>>続きを読む

ボディ・バッグス(1993年製作の映画)

3.5

三つのホラーオムニバス。一話二話をジョン・カーペンターが担当して、三話をトビー・フーパー。一話が殺人鬼もの、二話がコメディよりの異性物ホラー、三話がサイコスリラー。三作どれもよく出来ている。俺はキチガ>>続きを読む

サーティーン・レイクス(原題)(2004年製作の映画)

3.5

13の湖をただ撮す。意外と騒がしい。10割の中年男性はピンサロに行く金がないから映画を見ているだけなので、そこになにが映ろうが実はどうでもよくて、ジェームズ・べニングの無意味に意味を持たせる表現をぼん>>続きを読む

スター・ファイター(1984年製作の映画)

3.0

『ナイト・オブ・ザ・コメット』からレトロアーケードゲーム繋がりで。田舎町のトレーラーハウス住人、ゲームが上手いだけでなにもない青年が宇宙を救うことになる80年代SFの佳作。チャンスは掴んだら離すな、行>>続きを読む

フィルム時代の愛(2015年製作の映画)

2.5

一章の仕掛けがあまりにもホン・サンス(+なんとなく黒沢清『大いなる幻影』)、二章のアヴァンギャルドさは薄っぺらくて、他人の映画をつまみ食いの三章はなんだかとても恥ずかしい。切り離した言葉と映像、どちら>>続きを読む