半兵衛さんの映画レビュー・感想・評価 - 15ページ目

半兵衛

半兵衛

映画(2309)
ドラマ(8)
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冒険者たち(1967年製作の映画)

4.0

傷を追った大人たちが宝探しという夢に年甲斐もなくのめり込む前半の楽しい様子と、ある出来事から目的は達成したのに心に空洞が空いたような状態で過ごす後半のギャップが苦くて「夢なんてみんなを幸せにすることは>>続きを読む

アルプススタンドのはしの方(2020年製作の映画)

3.9

アルプススタンドの一角という目立たない場所で高校野球の応援を通して青春の真っ只中を突っ走る主人公たちに胸が熱くなる一作、原作が演劇だけにやや台詞が多いところが気になるけれど終盤ヒートアップしていく主人>>続きを読む

鮮血の情報(1947年製作の映画)

3.5

第二次世界大戦下のスパイの活動をヒロイズム抜きにドキュメントタッチで描いた作品が戦後アメリカで製作されていたのに驚かされるし、ネタバレになるので深くは書かないが主人公と思われた人物が途中あっけなく殺さ>>続きを読む

マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)

4.0

戦争のため一日しか結婚生活を過ごせなかった妻と夫のすれ違いを、戦後のドイツの状況と重ね合わせて狂走的に描くファスビンダー流メロドラマ。

夫がいないので自分で生活するしかないと仕事をしているうちにいつ
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はなしかわって(2011年製作の映画)

3.8

キャッシュカードを事情により止められたおっさんが色んな場所を右往左往するという他愛のないストーリーだけれど、そんな主人公が彷徨うニューヨークの日常の風景を軽快かつ魅力的に切り取る撮影や個性的な登場人物>>続きを読む

誘拐(1956年製作の映画)

4.2

前半30分での家族三人の平和な生活から子供の誘拐へとテンポよく流れていく展開も良かったけれど、中盤での子供を取り戻すためにくだした父親のクレイジーだけれど純粋すぎる決断からストーリーに異様な緊張感が生>>続きを読む

青い体験(1973年製作の映画)

3.3

青少年の頃に観賞したときはエロ目的だったので映画の内容は全く気にしていなかったのだが、大人になってから改めて見直すと青少年が憧れるエロシチュエーション満載の内容に加えてお色気全開の家政婦さんを巡って争>>続きを読む

デンジャラス・プリズン ー牢獄の処刑人ー(2017年製作の映画)

4.0

無骨な男が犯罪に関わったばかりに刑務所に入れられたうえに、組織に妻と子を人質にされて極悪な刑務所に潜入してターゲットを暗殺するという無茶苦茶な任務を強制され孤立状態のまま無言で任務を遂行せんと努力する>>続きを読む

大怪獣ガメラ(1965年製作の映画)

3.0

亀を怪獣にするという奇抜なアイデアを映像として成立させてしまうスタッフたちの手腕もさることながら、そんなガメラを怖くもどことなくチャーミングに仕立てて子供には優しい紳士ぶりを随所に配置して子供たちの心>>続きを読む

生きるべきか死ぬべきか(1942年製作の映画)

-

いつもは艶事で盛り上がっている連中が一致団結してナチスに一泡吹かせるのが痛快で爆笑。序盤のナチス劇でのやり取りが後半の伏線になるのも上手いし、後半の主人公のピンチから逆転劇への流れも見事。そしてルビッ>>続きを読む

愛のきずな(1969年製作の映画)

3.7

松本清張×コメディ出身の坪島孝×日活アクションやテレビドラマで活躍した小川英×藤田まことという変なスタッフの組み合わせが、かえってジャンルにとらわれないノワールのようでコメディで小市民ドラマという不思>>続きを読む

アデュー・フィリピーヌ 2Kレストア(1962年製作の映画)

3.5

世評ほど心に響かなかったし面白さもさほどだったけれど、型にはまらない青年と女性二人による愛がありそうで無さそうだけれど想いはあるという面倒臭い関係性がバカンス場面での自由な語り口と相まって自分が青春時>>続きを読む

バルドー/ゴダール(1963年製作の映画)

2.5

『軽蔑』撮影中での演出したり役者と談笑するゴダールや休憩中のBBを見られるのは貴重ではあるが、時間がすごい短いので単に撮影風景を観賞した印象に。それでも随所に入るトラブルばかり起こる撮影の大変さや監督>>続きを読む

パパラッツィ(1963年製作の映画)

2.5

当時人気絶頂で世界中のセックスシンボルとして注目を浴びており『軽蔑』を撮影するためロケ地に訪れたBBと、彼女を追ってわざわざやって来たパパラッチ。この相容れない二者の行動を奔放に追跡してポップに編集さ>>続きを読む

ドールズ(1986年製作の映画)

4.1

ある屋敷を訪れた人たちが一夜のうちに次々と殺されるホラーでありながら、主人公が妄想癖のある少女だったり屋敷に大量に置かれたチャーミングな人形たちだったりとどことなくファンタジーなテイストも感じられるの>>続きを読む

モンパルナスの灯(1958年製作の映画)

4.3

才能が世の中に認められずもがいて足掻くモジリアニが絶望にさいなまれ倒れるまでをじわりじわりと、まるで彼の世界が静かに崩壊していくように描くジャック・ベッケル監督のシビアな演出ぶりが薄幸な画家をめぐるド>>続きを読む

「エロ事師たち」より 人類学入門(1966年製作の映画)

3.5

お客の追い求めているエロをひたすら奉仕していた小沢昭一が、自分のなかにある性と向き合ったことから自分なりの理想のエロにたどり着く姿はさながらストイックな修行僧のようで思わず感銘を受けてしまう。人間個人>>続きを読む

子供たちは見ている(1942年製作の映画)

3.5

不仲な親の都合に振り回され、色々なところを転々としたりぎくしゃくした生活を送る子供の悲劇が容赦なく描かれておりいつしか主人公同様気分が沈んでくることに。

特に一見物静かだけれど多情で自分の都合ばかり
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ハネムーン・キラーズ(1970年製作の映画)

3.9

結婚詐欺師の男と彼を愛しているがため犯行に加わった中年女による、全体的に活気の失せた生々しい中年の匂いが立ち込める犯罪ノワール。確かに美男美女は登場しないし、出てくる女性はみな年齢を重ねた人たちばかり>>続きを読む

夢二(1991年製作の映画)

3.5

鈴木清順監督ならではの遊戯的な映像美や色彩感覚が存分に楽しめるが、同じ大正三部作に数えられる『ツィゴイネルワイゼン』や『陽炎座』に比べると時代の流れゆえかそれとも監督の心情の変化かドラマに緊張感がなく>>続きを読む

メン・イン・ブラック(1997年製作の映画)

3.0

地球に来訪した宇宙人の監視と保護という壮大なスケールの割に、物語は狂暴なチンピラのごときゴキブリ型宇宙人の凶行を終始追っかけてばかりという小さい範囲の出来事ばかりでモンスターとの対決もじゃれあっている>>続きを読む

笑う男(1928年製作の映画)

4.3

不気味な映像といい怪奇映画のような雰囲気に満ちているが、実際は顔はつねに笑っていても心は自分の顔について悩み傷つく心優しい主人公の人間ドラマ。サーカス団の仲間が彼の顔に理解があり自分を愛する女性が盲人>>続きを読む

賭博師の娘(1951年製作の映画)

4.0

娘を棄てた父親が二十年の時を経て成長した娘と再開するという、親子の再生というシリアスな題材をコメディタッチで処理しているのがブニュエル監督らしい。でも粗暴な父親など個性的な登場人物たちが織り成す笑いは>>続きを読む

怪談蚊喰鳥(1961年製作の映画)

3.3

愛欲にまみれた三人が迎える皮肉な結末を切れ味鋭く描いた優れた短編小説のような味わいも良いし、怪談と銘打ってはいるが本物の幽霊はワンシーンだけしか出てこないし幽霊よりも人間の方が怖いという展開の凝った構>>続きを読む

なみだ川(1967年製作の映画)

4.0

大抵の天然キャラに作為を感じてしまうほど、あまりにもナチュラルな言動と行為で周囲を振り回すけれど同時に芯はしっかり者で魅力的なヒロイン藤村志保の存在がこの作品では光輝いている。そのパワーは下衆な悪党の>>続きを読む

サーキットの狼(1977年製作の映画)

2.5

映画としてはつまらないし主役はイモだし原作は大幅に変更されて暴力やエロスといった東映イズムに満ちた作風に仕上がっているが、それでも当時のスーパーカーやその関係者を記録した映像の数々は貴重だし公道で逆走>>続きを読む

オール・ユー・ニード・イズ・キル(2014年製作の映画)

3.5

訳のわからない敵と無理矢理戦闘させられ、殺されてもゲームのようにまた戦闘前に戻されるというループはしんどすぎて死にたくなる(クリアするまで死ねないけれど)。だからこそそんな無限のループを乗り越え、ヘタ>>続きを読む

青春群像(1953年製作の映画)

3.5

端から見れば30近くになって下らないことばかりやってる大人になれない奴らだけれど、そんな人たちも結局は青春の熱から醒めていくように大人の世界に入っていく。終盤のそれに気づいた主人公と気づかずに自分達の>>続きを読む

第七天国(1927年製作の映画)

3.5

予想していたよりもベタなメロドラマだったけれど、それでも恋人たちが当初はお互いに心を閉ざしながらも徐々に近しくなっていく過程の見せ方が巧いし健気なヒロインを演じるジャネット・ゲイナーの萌え演技があざと>>続きを読む

サディスティック&マゾヒスティック(2000年製作の映画)

3.5

かつて日活ロマンポルノには神代辰巳や田中登、曽根中生といった映画ファンがオールナイトで特集されるたびに駆けつけた才能ある監督が存在していたが、その一方で西村昭五郎や藤井克彦などといった日活ロマンポルノ>>続きを読む

ミステリー・トレイン(1989年製作の映画)

3.8

全体的にあるホテルとかかわり合う三組が交わる一夜というオムニバス形式のお話を緩く描いているが、そんななかにもセンスの良い画づくりや音楽を組み込みそれらを巧みに切り貼りしてポップでクールで豊かな味わいの>>続きを読む

時の支配者(1982年製作の映画)

5.0

メビウスとルネ・ラルーがコンビを組んだと作品いうだけで興奮するのに、お互いの美点が宇宙のSFものというありがちなバリエーションに深みをもたらしてアーティスティックでありながら人間が生きる意味について問>>続きを読む

現代悪党仁義(1965年製作の映画)

2.1

喜劇にしてはテンポが悪いし、なにより舞台が大阪なのに宍戸錠と関西弁の相性が今一つなので関西でオールロケーションを敢行しているのに西文化の匂いが画面から漂わないのが弱い。もしこれが関西弁がよく似合う田宮>>続きを読む

アウトロー(1976年製作の映画)

3.8

イタリアとアメリカ、二つのウェスタンを経験しているイーストウッドがそのノウハウを生かしつつ、新たな西部劇へと挑んだ秀作。今までイーストウッドが演じてきた名も無き男ではなく、名前もバックボーンもちゃんと>>続きを読む

皆殺しハンター(1972年製作の映画)

3.0

謎の殺し屋二人と彼らに命を付け狙われたポン引き男という『殺人者』みたいなノワールドラマになるのかと思いきや、最下層で暮らすポン引きのオッサンが異様に強すぎて気づいたときには諸事情により殺し屋より先に始>>続きを読む

もののけ姫(1997年製作の映画)

4.5

日本の中世史をアニメとしても宮崎駿ワールドとしても成立させる手腕に感嘆するし、アニメ版『風の谷のナウシカ』以上に踏み込んだ人間と自然の共存の問題とそれと向き合ってもたらされた真摯な結末を「生きる」こと>>続きを読む